No.392
タイトル
クジラの島の少女
(原題)
WHALE RIDER
監督
ニキ・カーロ
脚本
ニキ・カーロ
キャスト
ケイシャ・キャッスル=ヒューズ、ラウィリ・パラテーン他
制作
2002年/ニュージーランド、ドイツ
ジャンル ドラマ
上映時間
102分
評価
★★★

【 ストーリー 】
クジラに乗ってやってきたという神秘的な勇者伝説を信じるマオリ族の一家。彼らは代々、男を族長として続いてきて、祖父はそれにふさわしい勇敢な男の子の誕生を望んでいた。やがて息子の妻が出産。男の子と女の子の双子だったが、妻と男の子は亡くなってしまい、女の子だけが無事この世に生を受けるが.....。

【 コメント 】
ニュージーランドの先住民族であるマオリ族の物語。主人公の少女パイケアを演じるケイシャ・キャッスル=ヒューズを始め、登場するキャストはすべてマオリ出身です。

マオリ族では長男が跡を継ぐならわしがあるものの、祖父の長男に生まれた双子のうち、男のは亡くなってしまい、女の子だけが残ります。さらに長男は伝統を守ることに固執する頑固な祖父に反発し、芸術家として生きるためにヨーロッパに。次男は、一族のあとを継ぐ才能があったのですが、”次男だから”という理由で祖父が許さず、結果、見る影もなく太ってしまう始末。祖父も最初は孫娘をかわいがっていたものの、やはり跡継ぎを作ることが自分の使命とばかりに、結果的につらく当たります。
設定といい展開といい、ちょっと分かり易すぎる気がしますが、ある民族が伝統を守っていく歴史の中で迎える壁が象徴的に描かれているともいえると思います。
時代が変わり、人が変わるなかで、伝統を守り続けるということは大変困難なことです。何百年も続く伝統ほど、時代にあわせて微妙に変化しているとも言われます。そんな中、頑なに昔ながらのやり方で伝統を残そうとする祖父。そして、本来跡継ぎの資格がない女性でありながらクジラの声を聴き、父とヨーロッパに行く話を捨ててまで生まれた土地に残る少女。
多少ファンタジックな演出を交えながらも、伝統を守っていくには、その民族みんなが力をあわせることが必要だというメッセージをうまくあぶりだしていると思います。
それにしても、マオリ族の伝統芸能は、例えば日本のそれとは全然違う文化を感じさせます。内面がもろにむき出しで力強い。すごい。

マオリ族を描いた映画といえば、リー・タマホリ監督の『ワンス・ウォリアーズ』(1994)が浮かびますが、こちらは暴力描写も強烈で、マオリ族を取り巻く状況をリアルで無骨な演出で描いた映画。マオリ族の文化や立ち位置を理解するという意味では、本作とあわせて見ることをオススメします。

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