No.123
タイトル
ウォー・パーティ
(原題)
WAR PARTY
監督
フランク・ロッダム
キャスト
ケヴィン・ディロン、ビリー・ワース、M・エメット・ウォルシュ他
制作
1989年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
99分
評価
★★
<ストーリー>
モンタナ州ミルク河。そこでは町興しのイベントとして100年前のインディアン対騎兵隊の戦いの場面が再現された。客寄せのための単なる見世物のイベントであったはずが、インディアンに恨みを持つ騎兵隊役の一人の男が実弾を用いてあるインディアンを射殺。それは新たなる紛争の始まりだった.....。

<コメント>
ザ・フーの『四重人格』を映画化した『さらば青春の光』(1979)で知られるフランク・ロッダム監督の作品。インディアンと白人の確執が生んだ悲劇的な事件とその顛末を描いています。

インディアン(最近はネイティブ・アメリカンと呼ぶ方が一般的でしょうか)を中心に描いた映画と言うと、ダニエル・デイ・ルイスの好演が印象深い『ラスト・オブ・モヒカン』(1992)やジョニー・デップの監督デビュー作『ブレイブ』(1997)等が思い浮かびます。この作品も主役は現代に生きるインディアンたち。彼らの悲劇の歴史や白人たちとの確執を背景に、アメリカ社会におけるネイティブ・アメリカンの問題をさらけ出そうという意図は伝わってきます。主人公の若者たちは、自分たちの血に誇りを持ち、先代に尊敬の念を抱きながらも、やたらとそれを精神的支柱にすることはしません。それは若い世代においては普通のことで、ある意味リアリティのある描写なのか、それともあまりにも虐げられた結果、自らの民族のアイデンティティを奪われてしまったのか。いずれにしても、なし崩し的に罪を犯してしまい、自分たちでコントロールできなくなった彼らが最後によりどころにするのは、同じインディアンの占い師。そして彼らが選択した悲しい結末。
フランク・ロッダム監督のアクションの演出はなかなか見せますが、全体を支配する緊張感や主人公たちが追い詰められていく切迫感等はいまひとつ。物語の発端は観光客向けに企画されたインディアンと騎兵隊との戦いの再現の場で、実弾が使われインディアンが殺されるというものですが、そもそもこの殺人の動機の描き方からして浅いです(その程度でも殺人につながってしまうのが逆に怖いという見方もできるかもしれませんが)。また、ネイティブ・アメリカンに対する残虐な行為について問題提起をするならば、やはり彼らの虐げられた歴史=居住区の描写や職にも就けず街で酒を飲むしかない人々の日常をもっと描く必要があったのではないかと思います。もちろんきっちりスーツを着て市長に媚びる姿等からはそれなりに彼らの苦渋の選択の結果が伝わってはきますが。それとも、そもそもアメリカ人なら誰でも知っているということなのかなー。マスコミの反応や動きまで描こうとした努力も結局は中途半端な結果に終わってしまいました。
同じくネイティブ・アメリカンの問題を扱った作品では、西部開拓史の裏側を真っ向から描いたキャンディス・バーゲン主演の『ソルジャー・ブルー』(1970)がやはり出色でしょうね。アメリカの実態を知る意味でもこの映画ははずせません。ジャーナリストのマイケル・ムーアもアメリカの銃社会に一石を投じる問題作『ボーリング・フォー・コロンバイン』(2003)で先住民殺しに言及していました。本作は衝撃度と言う意味では、これらの作品には遠く及びませんが、もちろん、こういうテーマを取り上げること自体はやはり重要だし、必要なことであると思います。

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