No.231
タイトル
草原とボタン
(原題)
WAR OF THE BUTTONS
監督
ジョン・ロバーツ
キャスト
グレッグ・フィッツジェラルド、エヴィアンナ・ライアン、ジョン・コフィー他
制作
1995年/イギリス
ジャンル ドラマ
上映時間
95分
評価
★★★
<ストーリー>
渓谷を結ぶ橋の真ん中に白く引かれたバリー町とキャリック町の”境界線”。悪ガキたちは顔を付き合わせれば”フニャチン”だ何だと言い争い、授業中も戦術を考えるのに余念がない。たびたび競り合いを繰り返す彼らの”戦利品”は上着のボタン。子供たちの戦いはやがてエスカレートし、それぞれの町の大人も巻き込んでいく.....。

<コメント>
製作は『小さな恋のメロディ』(1971)、『炎のランナー』(1981)等、数多くの名作を手がけてきたデイヴィッド・パットナム。脚本は同じく『炎のランナー』の脚本も手がけたコリン・ウェランド。監督はジョン・ロバーツ。
デイヴィッド・パットナム作品は時にアプローチがストレートすぎるところがあるのですが、本作では子供たちの友情に焦点を当てながらもセンチメンタル度は程よい感じです。全然階層の違う子供たちのグループのリーダー二人が、さまざまな経験や失敗を通して心を通わせていく過程がすがすがしいです。こういう話を大人の社会や今の日本を舞台に描くとあまりにもうそ臭いと思いますが、アイルランドの荒涼としてスケールの大きな自然を背景に、まだまだ純粋な子供たちを主役にされるとリアリティがありますね。国が違えどどこか懐かしさを感じさせます。
与えられた場所や道具がシンプルなほど、子供たちは驚くべき想像力を発揮するものです。戦利品としてボタンを奪うという行為、捨て身の奇襲作戦(ネタばれなので内緒です)等、自分たちが作り上げたルールに戦い方。まさに人間として成長する過程を見ているようです。授業で学んだ先人たちの戦い方や思想を自分たちの戦いに取り入れるあたりも微笑ましい場面です。同じく子供たちのグループが対立するイギリス映画と言えば『蝿の王』(1990)が思い浮かびますが、『蝿の王』が子供の純粋さの残酷な面が現れた作品だとすると、本作はその対極に位置するかもしれません。まあ、どちらも戦いを望んでいるという点では同じですが。それは人間が生まれ持った業という事でしょうか。
一見争い、憎しみあっているように見えても、それぞれの家庭の事情や環境を少なからず配慮しあっているところも感心させられます。私たち大人は決して子供たちと別次元に生きている存在ではなく、当たり前の話ですが、かつてはみんな子供でした。人間同士がお互いを理解しあうことの難しさ、そして大切さについて考えさせてくれる作品だと思います。

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