No.128
タイトル
ブルーム
(原題)
VROOM
監督
ビーバン・キドロン
キャスト
クライヴ・オーウェン、ダイアナ・クイック、デヴィッド・シューリス他
制作
1988年/イギリス
ジャンル 青春ドラマ
上映時間
89分
評価
★★
<ストーリー>
失業の街ランカシャーで夢見ることも許されぬ若者たち。でもジェイク(クライヴ・オーウェン)は違った。ある日ジェイクはスーパー・マーケットで出会ったスーザン(ダイアナ・クイック)に一目ぼれ。”自由の明日”があると信じるジェイクはスーザンと友人リンジ(デヴィッド・シューリス)と共に街を出ることを決意する.....。

<コメント>
アクション俳優のウェズリー・スナイプスがゲイ役に挑んだ『3人のエンジェル』(1995)等が話題を呼んだイギリス出身のビーバン・キドロン監督の長編デビュー作。若さゆえに自由を求めて旅に出る二人の男と自分の居場所を求める一人の女が繰り広げる理想と挫折の物語。

レンタルビデオのパッケージに書かれている説明やタイトルロゴ等をご覧になった方は、まず冒頭から映し出されるトーンを押さえた映像に驚かれるかもしれません。『プリティ・イン・ピンク』(1986)や『ブレックファスト・クラブ』(1985)等の80年代系青春ドラマかと思いきや、その映像の渋いこと!ビーバン・キドロン監督はこの作品の後、アメリカに渡りますが、前述の『3人のエンジェル』や『迷子の大人たち』(1992)等、そこそこ話題にはなったものの、個人的には好きな方向性ではありませんでした。やはり彼女はイギリスを撮った方が合っている気がします。この作品でも、陰りのある映像の中で理想を求めて生きる若者たちの様子は、貧困な社会でたくましく生きる人間像をリアルに映し出しています。
中盤から主人公たちは街を抜け出しロードムービーの趣きとなりますが、ここでも行く先々のロケ地、風景が素晴らしい。燦燦と降り注ぐ太陽を浴びての車道中ではないけれど、時代と歴史の足跡が垣間見える土地にいぶしピンク(?)のキャデラックが溶け込みます。

と、こう書いてくると前述のような一連のアメリカ青春モノとは一線を画する硬質なドラマに仕上がっているように思われるかもしれませんが、誠に残念なのは音楽。これが良くも悪くも80年代そのもの。個人的にはメインテーマになっている曲の少しニュー・ウェイブっぽい軽さが許せませんでした。しかもこれがやたらと繰り返されるんです。この映像と音楽のギャップが楽しめる人にはいいかもしれませんが...。冒頭のミュージック・クリップのような使い方だけで終わればまだ良かったのに。音楽も含めてもっと退廃的な雰囲気に振れても良かった気がします。せっかくイギリス映画なんだから(笑)。そうするとファンタジー色の濃いラストもそれなりに余韻が残ったかも。イギリス版『グリース』を狙ったわけではないでしょうが、このラストはまさに賛否両論分かれそうですね。

<以下、ネタばれ注意!>
主人公ジェイクの恋人スーザンが最終的に居場所を求めて街に戻るのはキドロン監督が女性だからでしょうか。しかしその結果として、ジェイクを破滅させずに空を飛ばしてしまうあたり、監督の優しさを感じました。個人的には、ジェイクの行く末を持て余した感じがして、何となく物足りない印象を受けてしまうのですが。この作品を見て共感するのは、男を捨てて自分の居場所に戻る女に感情移入する女?それとも何だかんだあっても空を飛んで喜んでしまう男?

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