No.143
タイトル
ヴィバラビィ
(原題)
VIVA LA VIE
監督
クロード・ルルーシュ
キャスト
シャーロット・ランプリング、ミシェル・ピッコリ、シャルル・アズナヴール他
制作
1984年/フランス
ジャンル SFドラマ
上映時間
110分
評価
★★★
<ストーリー>
ある日、アメリカ系大企業の”NOW”の重役ミセル・ベランと女優のサラ・ゴシェールが同時に行方不明となった。しかし二人には何の接点も無い。家族やマスコミが大騒ぎする中、突然2人は帰ってくる。一見無事のように見えた二人だが、共に頭部にかなり高度な技術による手術の傷跡が発見される.....。

<コメント>
”おしゃれ”なフランス映画を語るときにはずせない『男と女』(1966)で注目されたクロード・ルルーシュ監督。個人的にも好きな監督で、ベストは『愛と哀しみのボレロ』(1981)なのですが、実験的な手法を大胆に試みた『白い恋人たち』(1968・冬季オリンピックをドキュメンタリー・タッチで撮影)や『恋人たちのメロディー』(1971)も好きですねー。本作『ヴィバラビィ』も実験的要素の強い一風変わったSFドラマ。ルルーシュ監督のチャレンジ精神が感じられる作品です。

冒頭、加速していく電子音とパニックに陥る人々の描写で、すでに近未来がイメージされるのは現代人の悪い癖でしょうか。全体的に暗めの映像が、先の見えない恐怖をあおります。
ある日ある時間にまったく別の場所で、何の関係も無い二人が同時に行方不明になるというその設定、そして次に発見されたときに二人の頭に発見された開頭手術の跡。実験的な映像でありながら、非常に興味深い脚本に思わずグイッと引き込まれます。実験的なのは映像のイメージだけでなく、映画の講義における発言に皮肉が効いていて、これも面白い効果を生んでいます。この序盤に関してはクロード・ルルーシュ監督の試みは成功していると言えるでしょう。
二人の人間が失踪から戻ってきたあたりから、いよいよSFドラマが展開されていくのですが、残念ながらこの中盤以降の演出が少し物足りなく感じました。異星人との接触も絡んでくるわけですから、もっと本格的にミステリーっぽい雰囲気で展開しても良かった気がします。結局物語の真相っていうのはさほどリアリティがあるわけではありませんから。結局異星人であれ何であれ、人類の未来を脅かす存在とその恐怖を描くとしても、その恐怖が生む人間同士の連鎖的な困惑や暴動、選択が描かれて物語が厚みを増すのだと思います。そうでなければハリウッド映画に良くあるような正義が勝つか、悪が勝つか(いつも人類は正義なんですけれどね)という単純なものになってしまいます。人間の内面の描写という意味では、主要な登場人物4人の描写にほとんど終始してしまい、スケール感に乏しく、リアリティも失ってしまう結果になってしまったようです。二人の出会いの時制を映し、「VIVA LA VIE」(命 万歳!)という曲を持ってきたラストは、成功しているとはいいがたいですが、最後まで意欲的なところは評価できると思います。全体的にはよく言えば”わかりやすいアンドレイ・タルコフスキー”、悪く言えば”実験的手法に失敗したマイケル・クライトン”、といった感じでしょうか。

直接作品のレビューには関係ないですが、突然、女優サラが男に結婚を申し込む場面で、男に「あとで冷静に話し合おう」と返されたときの台詞で「冷静に話すことじゃないわ」っていうのはいいなーと思いました。こういうところがやはりフランス映画。

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