No.277
タイトル
ゴッホ/謎の生涯
(原題)
VINCENT & THEO
監督
ロバート・アルトマン
脚本
ジュリアン・ミッチェル
キャスト
ティム・ロス、ポール・リス、アドリアン・ブリン他
制作
1990年/イギリス、フランス、オランダ
ジャンル ドラマ
上映時間
140分
評価
★★★
<ストーリー>
力強いタッチと独特の色彩感覚で、19世紀を代表するオランダの画家として知られるヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(ティム・ロス)。本作は常にコンプレックスに苛まれながら芸術をし続ける彼と、その才能を信じて援助する弟テオ(ポール・リース)の、言葉では言い尽くせない絆を軸に描いた物語.....。

<コメント>
『ザ・プレイヤー』(1992)、『ゴスフォード・パーク』(2001)等、とにかく登場人物の多い力技の作品で、いろんな賞を総なめにしてきたロバート・アルトマン監督が、偉大なる画家ゴッホの人生に挑んだ作品。
ゴッホを描いた作品では、先に名優カーク・ダグラス主演の『炎の人ゴッホ』(1956)があります。この作品は映画としてのリアリティよりも絵画的映像を重視し、美しい風景と色彩の中にゴッホの純粋なる狂気を浮かび上がらせた作品でした。ゴッホを描く、という意味では正統派と呼べる作品ではないかと思います。
一方本作は、原題が『VINCENT & THEO』とあることからもわかるように、ゴッホと生涯にわたって彼を支え続けた弟テオとの関係を中心に描いています。ゴッホが貧困の中で絵を描き続けながら、やがて精神に異常をきたして死を迎えるまでを描いているという意味では二作とも同じなのですが、ゴッホ自身の描き方は結構違います。
自分の耳を剃刀でそぎ落とす有名なエピソードは、いずれの作品でも出てきますが、その原因に関しては、本作では謎です。自分を銃で撃つくだりもあまりにも突発的(発作なのだとは思いますが)。邦題が『ゴッホ』だけではなく、『ゴッホ/謎の人生』とされたのは、内容も少なからず影響しているのかもしれません。

冒頭にゴッホの「ひまわり」のオークションシーンを持ってくるあたりはいかにもロバート・アルトマンらしい演出ですが、それ以降はわりと”普通”に進行します。手紙の内容等から、一般的なイメージとは違うゴッホとテオの人間性や関係性が浮き彫りになるのが興味深いですが、ゴッホという苦悩に満ちた画家の人生が伝わってくるかというと、そうでもないんですよね。ティム・ロス演じるゴッホの狂気が強すぎて(上手すぎて?)、芸術に対する主体性が感じられないからでしょうか。いっそのこと、弟テオを主人公にして、不遇の天才画家を支え続けた肉親の物語とした方が興味深かったかもしれません。ゴッホの思想や彼が亡くなった後のテオの心境も、もう少し掘り下げて欲しかったと思います。

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