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No.48 |
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タイトル
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さすらう女 |
(原題)
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SANS TOI NI LOI VAGABOND |
監督
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アニエス・ヴァルダ |
制作
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1985年/フランス |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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106分 |
評価
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★★★★ |
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<ストーリー>
南フランスのある場所で発見された女性の凍死体。彼女の名前はモナ(サンドリーヌ・ボネール)。放浪者の彼女を深く知る者はなく、ただ彼女と関わりを持った人々の証言だけが彼女を知るための唯一の手掛かりだった。ガソリンスタンドの主人、同じように放浪を続ける男、元学生運動家.....。一人で放浪を続けていた彼女に一体何があったのか.........。
<コメント>
フランスのベテラン女流監督アニエス・ヴァルダの作品。束縛や干渉を嫌い、自由に生きる女の旅物語とその末路が淡々と綴られています。日本では1991年に『冬の旅』の題名で公開されました。実話がベースとなっています。
冒頭いきなり女の死体が発見され、それから後は目撃者達の証言により彼女の行動や考え方が浮き彫りにされるというちょっと変わった進行です。
目撃者達の中には冷酷な人もいれば優しい人もいて、皆それぞれに彼女と何らかの関わりを持っており、彼女はそういう人たちに時にはだまされ、時には救われるのですが、監督の視点は終始冷静です。また、目撃者達の証言はそのまま彼女=”自由というもの”に対する考え方と取れなくもなくて、その点では皆さまざまな考えを持っていますが、これに関しては監督は今の社会で自由を得ることの難しさをストレートに提示しているのではないかと思います。
本当の自由を得るための代償として孤独があること、そして孤独は人間をむしばむこと、登場人物のセリフとして語られるそういう言葉の端々に監督のクールな視点が感じられます。
そうすると救いの無い作品のように思われますが、最終的には悲惨な結末を迎えるものの、それでもたくましく自由を求め続けた主人公モナの行動には自由を得ることの難しさだけでなく、大切さをも表現しているようにも思われます。実際に現代社会で生活する中で、自分らしさや自由を求め続けることはとても困難です。そういう意味でモナはまさに我々であり、我々は皆モナなのではないでしょうか。
ちなみに素晴らしい演技でモナの孤独と苦悩を表現したサンドリーヌ・ボネールはLA批評家協会賞女優賞を、また作品はヴェネチア国際映画祭金獅子賞をそれぞれ受賞しています。彼女はイアン・セラー監督の『プラハ』(1991)では不思議な三角関係を漂う女性を魅力的に演じましたが、ここでの演技はとても同じ人物とは思えません。すごいです。 |
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