No.305
タイトル
太陽の誘い
(原題)
UNDER SOLEN
監督
コリン・ナトリー
脚本
コリン・ナトリー
キャスト
ロルフ・ラスゴード、ヘレーナ・ベリストレム他
制作
1998年/スウェーデン
ジャンル ドラマ
上映時間
118分
評価
★★★★
<ストーリー>
人々が待ちわびる白夜の季節を迎えたスウェーデンの田舎町。オロフ(ロルフ・ラスゴード)はここで暮らす40歳の農夫。不器用で女性を知らず、読み書きも出来ないが、大らかな優しさを持っている。そんな彼のもとに家政婦としてやってきた美しく洗練された女エレン(ヘレーナ・ベリストレム)。オロフはすぐに彼女に恋心を抱くが.....。

<コメント>
イギリスで生まれ育ちながら、スウェーデンをこよなく愛するコリン・ナトリー監督の作品。イギリスの作家H・E・ベイツの短編『小さな農場』がベースとなっています。田舎暮らしが長くて文字も読めず、女性経験もない純真無垢な中年男と、彼の出した新聞広告を見てやってきた訳ありで経験豊富な美しい家政婦との出会いと行く末を描いたドラマ。
自分自身の存在意義や人生の目的、そういったものに立脚する”自信”というのはいったいどのようにして成り立つのでしょうか。もちろんいろんな要素があると思いますが、そこに他人からの愛や承認が必要なのは間違いないでしょう。40年もの間、普通の農夫として暮らし、女性との性体験がないがゆえに自分に自信が持てない男オロフ。ただ、それゆえに他人に対する純粋な優しさを持っているのも事実。そこに現れた家政婦として雇われた女性エレン。他人に言えない傷を持った彼女が、そんな寛容な優しさを持った男に惹かれるのは当然のことなのかも知れません。
オロフ役を演じるロルフ・ラスゴードの臆病と優しさの中間点あたりの演技がいいですね。相手役ヘレーナ・ベリストレムの聡明さと強さを併せ持ちながら、ひょっとしたら悪女かも、と思わせる色気も魅力的。もちろん、ここで言う色気とはアメリカ的な文化に根ざしたものですが。
本作では、スウェーデンと言う国(もしくはヨーロッパ?)がアメリカに対して抱く羨望の視点と自分達の文化を見つめなおす視点とがバランスよく配置されている気がします。アメリカに羨望を抱くオロフの友達、エリックの存在も物語りに幅を持たせています。官能的な描写も含めて、フランス映画っぽいと思う部分も多いのですが、そういうところが個人的には好きでした。
人を信じ、自らを信じることの難しさと素晴らしさ。主人公オロフの人間的成長(といっても40歳なのですが...)は、静かではありますが所々で描写されるスウェーデンの美しい自然と相まって見る者の心を打ちます。

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