No.200
タイトル
スイート・スイート・ヴィレッジ
(原題)
VESNICKO MA STREDISKOVA
監督
イジー・メンツェル
キャスト
ヤノーシュ・バーン、マリアン・ラブダ、ルドルフ・フルシンスキー他
制作
1985年/チェコ
ジャンル ドラマ
上映時間
102分
評価
★★★★
<ストーリー>
舞台はプラハの南。田園風景が続く小さな村クシュベッツ。集団農楊の運転手パヴェク(マリアン・ラブダ)の相棒で少し知恵遅れだが明るい性格のオチク(ヤノーシュ・バーン)は今日もドジばかり。両親を亡くしたオチクの父親代わりとして面倒を見ているパヴェクもこれには辟易、相棒を変えてくれと申し出るが.....。

<コメント>
巨匠映画監督10人によるオムニバス映画『10ミニッツ・オールダー イデアの森』(2002)にも作品を提供していたチェコのイジー・メンツェル監督の作品。英語題は『MY SWEET LITTLE VILLAGE』。小さいながらもいろんな人々の思惑が交錯する村を舞台に、青年と彼の相棒で父親代わりの男を中心に繰り広げられる人間ドラマ。
小さな村の物語という設定の割には、不倫あり、交通事故あり、買収ありと結構いろんな事件が起こるのですが、そこはやはりのどかな田園風景が続く田舎のこと、どことなくのんびりほのぼのした空気が流れています。全体的にコメディ・タッチで描かれているところが、重くなりすぎていなくていいですね。コメディと言ってもそんなに大笑いできるところは無く、全体的に”笑える度”は控えめですが、何もドタバタで笑わせるだけがコメディではありません。序盤には多少どたばたの部分もありますが。
主役の二人のキャスティング・演技ともに魅力的なのですが、個人的にはやはり暴力亭主を演じていたペトル・ツェペックが気になりました。彼は同じくチェコのアニメ作家、ヤン・シュワンクマイエルの長編映画『ファウスト』に主演していた俳優。シュワンクマイエルファンの方はご存知ですよね。まあ、本作では病的に嫉妬深い男の役で、あまり良い役ではないのですが。しかし、この奥さんのはじけぶりも楽しかった。
作中、前述のようにいろんな事件が起こりますし、決して善人ばかりの話ではないのですが、とにかく登場する人々がみんな活気があっていいんですよねー。生活は決して裕福な感じではなく、画面もどちらかというと暗めなんですが、全体的にポジティブな空気に包まれています。医師や絵描きの台詞を始めとして、人々の言葉のやり取りも味があります。途中、おじさんたちが仕事を休んで外でのんびりビールを飲む場面があるのですが、その時の台詞がいいんです。「こういう時の気分を大切に覚えておいて、冬に思い出すと、それだけで心が暖まるよ」。いいですねー。ビールが飲みたくなりました。このチカラの抜け具合がこの映画の魅力。村人たちの街に対する愛情もストーリー的には重要な位置を占めていますので。ただ、肝心の主人公のキャラクターや心情の描写が少し弱い感じがするのが残念。この辺の演出しだいでは、観る人の涙も引き出せたかも、です。ラストシーンは本作のエンディングにふさわしいさわやかな出来。ちょっとした演出(お見逃し無く)もあって、思わず微笑んでしまいます。本作がお気に召した方は、同じくイジー・メンツェル監督作品である『つながれたひばり』(1969)をぜひ。

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