No.427
タイトル
SWEET SIXTEEN
(原題)
SWEET SIXTEEN
監督
ケン・ローチ
脚本
ポール・ラヴァーティ
キャスト
マーティン・コムストン、ウィリアム・ルアン他
制作
2002年/イギリス、ドイツ、スペイン
ジャンル 青春ドラマ
上映時間
106分
評価
★★★★★

【 ストーリー 】
学校にいっていないリアム(マーティン・コムストン)は、親友ピンボール(ウィリアム・ルアン)と煙草を売って小銭を稼ぐ日々。しかし、今の生活を抜け出し、釈放の日が近い服役中の母ジーン(ミッシェル・クルター)と一つ屋根の下で暮らすことを夢見て、大金を得るべく麻薬を売りさばく計画を立てる...。

【 コメント 】
『麦の穂をゆらす風』(2006)で同年のカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞した社会派ケン・ローチ監督が、スコットランドの田舎町を舞台に描いた切ない青春物語。

16歳の誕生日を控え多感な日々を過ごす少年リアムが、服役中の母親との幸せな生活を夢見て奔走するという、一見シンプルなストーリーですが、リアムと彼を取り巻く人々とのさまざまな人間関係が描かれた濃密なドラマになっています。中でもリアムと親友ピンボールとの関係は、彼にとってかけがえのないものである反面、足枷ともなる複雑なもの。他者を傷つけることを拒否した瞬間、自らを捨てなければならない立場に追い込まれながら、あえてそれを受け入れるリアムの強さ。そしてそれを見抜いた姉の言葉。この映画でやり取りされる台詞は、すべてが装飾なしでむき出しのエネルギーを発しています。リアムの日常とは、遊びのないハンドルで車を運転するような日々だったのかもしれません。母親と普通に暮らす、そんな小さな夢でさえ、厳しい社会と現実の前では実現しません。本当の幸せを掴むために必要なのは、誰かのために自分を捨てることでしょうか、それとも誰かに愛されることでしょうか。

ラストシーンは、とうとう一線を越えてしまったリアムの人生の破綻を予感させるようにも受け取れますが、個人的には、彼自身はまだまだ純粋で”甘い”16歳でありながら、ちゃんと彼を愛してくれる人もいて、このような困難がありながらも、さらにたくましく社会を生き抜いていく強さを持った人間であることを感じさせる、ポジティブなシーンだと感じました。人と人との関係、人と社会との関係はあまりにも複雑で難解です。だからこそ、逆にどのような状況でも幸せになる方法はあるはず。いずれリアムもきっとその道を見つけ出すでしょう。
犯罪発生率の高さや離婚の多さなど、スコットランドの社会問題を背景に、そこに生きる人々の絆や優しさをしっかり描いた傑作だと思います。

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