No.274
タイトル
スリ
(原題)
スリ
監督
黒木和雄
脚本
黒木和雄、真辺克彦、堤泰之
キャスト
原田芳雄、風吹ジュン、真野きりな、柏原収史他
制作
2000年/日本
ジャンル ドラマ
上映時間
112分
評価
★★★★
<ストーリー>
”伝説のスリ”として知られた海藤(原田芳雄)は、いつしかアルコール依存の身体になってしまい、代わりに稼いでいたのがレイ(真野きりな)であった。ある日、電車内でレイの鮮やかな技に魅入られた一樹(柏原収史)は海藤に弟子入りする。海藤自身も現役復帰を心に決めるが、彼を潰そうと狙う男たちがいた.....。

<コメント>
『日本の悪霊』(1970)、『竜馬暗殺』(1974)等を手がけた黒木和雄監督が前作『浪人街』(1990)から10年の時を経て放った復活作。同監督作品ではお馴染みの俳優・原田芳雄が演じる落ちぶれたスリの生き様を描いた作品です。
個人的には原田芳雄、石橋蓮司、真野きりな(『鉄男』(1989)の塚本晋也監督の『BULLET BALLET バレット・バレエ』(1999)でやられました)等、好きな俳優さんが揃った作品。で、その俳優陣がみんな素晴らしい演技を見せてくれます。後、もちろん風吹ジュンのベテランらしいメリハリの効いた演技、柏原収史の日本映画には珍しいリアルな演技も良いですね。

ストーリー的には昔ながらのスリが主役ということや、ビルの屋上が舞台になっているところ等、最近作られた割には少し時代を感じさせる気がします。また、主役とそれに絡む2人(原田芳雄、真野きりな、柏原収史)の人間関係はよく描かれていると思いますが、それ以外の登場人物との関係が少しあやふやな感じです。特に、真野きりな演じる娘とその兄、そして海藤との確執はもう少し深く突っ込まれていた方が良かった気がします。それでも、キャスティングの素晴らしさもあって最後まで引きこまれました。中盤、ベテランスリの原田芳雄と彼を追いかけることに生きがいを感じる刑事・石橋蓮司の二人が屋台で肩を並べる場面には、ベタではありますがプロの世界に生きる男たちのプライドと生き様が集約されています。石橋蓮司という人は本当に画面の雰囲気を決定する存在感を持った稀有な俳優だと思います。
人間は善人でも悪人でも何かにすがらなければ生きていけない弱い存在です。例え信じるものが偽物だとわかっていても。
ちなみに、本作では、実際にスリのテクニックが描写される場面があり、それも見所の一つではあるのですが、これに関しては、同様にスリを主人公にしたフランスのロベール・ブレッソン監督の『スリ』(1960)という作品の方が面白いかもしれません。ブレッソンの作品では、数人のスリのプロたちによる連係プレーがたっぷり見られます。とても参考になり...いや、参考にはしないでくださいね。

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