No.150
タイトル
息子の告発
(原題)
天国逆子
監督
イム・ホー
キャスト
トゥオ・ツォンホワ、スーチン・ガオワー、マー・チンウー他
制作
1994年/中国、香港
ジャンル ドラマ
上映時間
98分
評価
★★★
<ストーリー>
中国東北部の小都市、凍てつく冬の朝、一人の若い男(トゥオ・ツォンホワ)が警察署に入ってきた。殺人事件の捜査を依頼するためである。担当の警部は話を聞いて衝撃を受ける。事件が起こったのは10年前、そして殺されたのは彼の父親で、殺したのはなんと実の母親だという.....。

<コメント>
10年前に自分の母親が父親を殺したという疑いを持つ息子が、事件の解決のために母親を告発する様子を描いたドラマ。監督は『レッド・ダスト』(1990)、『キッチン』(1997)の嚴浩(イム・ホー)。この告発は中国の元開放軍兵士の身に実際に起こった話らしいです。イム・ホー監督は常に大陸へ視点を向けてきた香港ニュー・ウェーブ一派。この作品も舞台は中国で社会的テーマも絡められています。母親役には『香魂女−湖に生きる』(1993)のスーチン・ガオワー。息子を演じるはトゥオ・ツォンホワ。

基本的にはサスペンス仕立てで物語りは進行していきます。幼い頃、主人公は母と凍った池に落ちたところを木こりの男に助けられるのですが、若くたくましいこの男と母親は不倫関係に陥ってしまいます。そしてちょうどそれと時を同じくして訪れた父親の死。息子は母親のある行動を見てしまったことから母の父殺しを確信。10年という年月を経て、悩んだ末に告発に至ります。この告発が真実なのかどうか、この事件の裏側には一体どんな人間関係が隠されているのか、このあたりの演出はなかなかのもので、母親役スーチンの鬼気迫る名演技もあって緊張感を持って見られます。息子役のトゥオ・ツォンホワも甘いマスクが印象的ですが、心の葛藤を抱えながら最終的に実の母を告発する潔白さ、クールさを感じさせていいですね。
ただ、実際にあった話しに基づいているという事実に驚きながらも、この脚本でサスペンスとして見るには、オーソドックスすぎる感も。多少どんでん返し的な部分もありますが、描写はストレートでひねりはありません。作中、中国の庶民生活を覆う貧困と人間を翻弄する厳しい自然環境が頻繁に描写されます。画面も陰影を多用し暗いイメージを醸し出しています。真実を明るみに出したいと思いながらも、殺された父親に比べれば母親と不倫相手は自分に優しくしてくれた人。告発という行為は、ある意味この二人を裏切る行為。主人公のこの葛藤が物語の柱となっていますが、貧困と自然環境(この二つも相互に関係にあると思いますが)という要素が事件に関係していることは明らか。母親にしてみれば何とかこの貧しくて苦しい生活から抜け出したかったという思いがあったはず。社会的な視点もあることは伝わってきますが、ここの問題の根の深さの掘り下げが多少物足りない感じです。むしろサスペンスっぽさを極力抑え、第三者である相談を受けた解放軍兵士の語りで物語が進めば良かったのかも。
終盤、母親の口からは悔恨の言葉が漏れ聞こえますが、果たしてそれはただ単に欲望の果ての行動であったのか。それだけでは割り切れない社会の闇、そして人間の業。ラスト、息子の映像がネガに切り替わりますが、これがなんとも示唆的な終わり方です。
ちなみにこの作品は1994年第7回京都国際映画祭グランプリ・最優秀監督賞を受賞しました。

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