No.162
タイトル
ストーリー・ビル/秘められた街
(原題)
STORYVILLE
監督
マーク・フロスト
キャスト
ジェームズ・スペイダー、ジョアン・ウォーリー・キルマー、ジェイソン・ロバーズ他
制作
1992年/アメリカ
ジャンル サスペンス
上映時間
112分
評価
<ストーリー>
地方議会を目指す新進弁護士のクレイ(ジェームズ・スペイダー)は謎の美女に誘われエロティックな夜を過ごした。だが、翌朝、彼の元にその模様を写したビデオテープが届けられる。そして折しも明らかになる父の死の秘密。複雑に絡み合うミステリーの中にクレイは単身乗り込んでゆく.....。

<コメント>
80年代後半に一世を風靡した名ドラマ『ツイン・ピークス』の仕掛け人、マーク・フロストが監督したサスペンス。同作品よろしくさまざなキャラクター・エピソードが絡みながら物語が展開していきます。
とは言ってみたものの、『ツイン・ピークス』を監督したデビッド・リンチが作り出したような日常と非日常の狭間のような世界観も無く、それぞれのキャラクターも普通。勝手に伏線を想像してしまうような仕掛けも無ければ、訳もわからず不安を掻き立てられるような演出もありません。第2の『ツイン・ピークス』を期待した方には???という感じです。では、普通にサスペンス・ドラマとしてはどうかと言われると、いかんせんジェームス・スペイダーが冷静すぎて入り込めなかったです。そもそも、彼は『セックスと嘘とビデオテープ』で見せたように、感情の起伏を明確に表現するのではなく、物事の流れに身を任せながら、世界と距離を置きつつも引き込まれてしまう役が似合うタイプ。肝心の演出が浅いと物足りなさしか残りません。どちらかというとリアリティを求める人間としては、突っ込みどころ満載でした。亡き父の代わりの議員候補はこんなに醒めた感じではいられないでしょう。彼自身はハンサムだし、演技派だとは思うんですけれど。謎の女性・リーのキャラクター設定やエピソードもほとんど意味無いですねー。そのエピソード単体で迫力があったり、緊張感があったりすればそれはそれで面白いのですが。
ということで『ツイン・ピークス』と比べるまでも無く、少しもったいない感じの出来なのですが、それでもなんとかドラマとして成立したのは名脇役ジェーソン・ロバーズの演技のおかげでしょう。彼は1976年に『大統領の陰謀』で、続く1977年には『ジュリア』で2年連続アカデミー賞助演男優賞を受賞したベテラン。この存在感、さすがです。あと、何だかんだ言っても脚本自体はそんなに悪くないんじゃないかと思います。こういうのは若き日のマイケル・ダグラスあたりを主役にして、もっと官能的な女優さんを数人添えて、ベタベタのサスペンス・ドラマに仕上げれば楽しかったかも。

デビッド・リンチ監督の大ファンとしては、やはり彼の映像・演出あっての『ツイン・ピークス』だったのだなあとあらためて感心させられました。そういえばリンチ監督は、地球上の様々なストレスを緩和する「トランセンデンタル・メディテーション(超自然的瞑想)」の指導者を養成するために10億ドルの寄付金を募っているらしいです。その際の取材に対するコメントで、瞑想を34年間続けていることも明らかにしました。まあ、そういう人だからこそ創り出せる世界があるんでしょうね。

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