No.71
タイトル
君がいた夏
(原題)
STEALING HOME
監督
スティーヴン・カンプマン&ウィル・オルディス
キャスト
ジョディ・フォスター、マークハーモン、ハロルド・ライミス他 
制作
1988年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
99分
評価
★★
<ストーリー>
うだつの上がらない野球選手ビリー(マーク・ハーモン)には忘れられない人がいた。それは年上の従妹ケイティ(ジョディ・フォスター)。高校時代の彼女との甘く切ない思い出は彼の宝物だった。そんなある日ビリーはケイティが自殺をしたというショッキングなニュースを聞かされる。しかも遺言によると遺灰は自分に任せると言う。彼は様々な想いを胸に、高校時代の青春と彼女との思い出が詰まった故郷へ戻る......。

<コメント>
俳優スティーブン・カンプマンがウィル・オルディスと共に脚本まで手掛けた初監督作。『羊たちの沈黙』(1990)で名実共にアメリカを代表する女優となったジョディ・フォスターを配した青春ドラマです。

主人公はうだつの上がらない野球選手。彼が自分に遺灰を託して自殺した従妹のために故郷に帰り、青春時代や彼女との思い出を回想する形で物語が進んでいきます。
白球にかける青春、彼女とのSEX、きれいな従妹のお姉さんとの思い出、その彼女の自殺と遺言、そして託された遺灰、と甘く切ない青春ドラマを描くには十分な要素が揃っていると思うのですが、全体的にはちょっと中途半端な印象でした。物語の要となる従妹ケイティの人物的背景や自殺の理由は描きこまれていないし、遺灰の決着の付け方も納得できませんでした。主人公と従妹との関係や思い出を中心に見るとちょっと焦点がぼやける感じです。『カリフォルニア・ドリーミング』でもないし『スタンド・バイ・ミー』でもない。これはどちらかというと野球少年の思い出の日々を描いた作品として見るのが正解なのでしょう(原題からしてそうでした。そう言う意味では邦題は狙いすぎ?)。
ただ個人的にはそういう風に見ても、ストレートで特に凝った部分の無い演出がちょっと退屈でした。思い出の人を失ったという喪失感や、それを乗り越えて再生するカタルシスがもっと伝わってくれば良かったのですが。こういう演出ならもっと脚本にひねりが欲しかった気がします。まあこの辺りは好みが分かれるところかもしれません。奇をてらわない演出のおかげでトーンが暗くならず、監督と主演男優があまりメジャーでない割には、従妹役のジョディ・フォスターと音楽担当のデヴィッド・フォスターの起用が成功して軽いタッチの爽やかな作品に仕上がっているとも言えます。こういう路線が好きな方や野球ものが好きな方には結構楽しめる作品だと思います。

主人公を演じるマーク・ハーモンはいまひとつ印象が弱い気がしますが、ジョディ・フォスターはそれなりの演技を見せてくれます。こういう従妹がいたらなー、と思わせられますね。しかし、彼女のキャラクターに合っている役かと言うとそうでは無い気がします。ジョディ・フォスターは個人的にとても好きな女優ですが、この作品に限らず、彼女はどこかイメージ付けられるのを嫌うような作品選びをするところがあり(『告発の行方』(1988)もそうだと思っています)、演技のうまさで何でもカバーしてしまうのですが、場合によっては少しキャラクター作りに無理を感じてしまう時があります。その辺りも少し気になったところですね。
最新作『パニック・ルーム』はニコール・キッドマンの怪我による代役ということですが、『セブン』(1995)のデビッド・フィンチャー監督ということもあり期待度大です。

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