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No.271 |
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タイトル
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スパイシー・ラブスープ |
(原題)
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SPICEY LOVE SOUP |
監督
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チャン・ヤン |
脚本
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チャン・ヤン、リウ・フェントウ、ティアオ・イーナン、ツァイ・シャンチュン |
キャスト
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チャオ・ミアオ、カオ・ユアンユアン、タン・スーフー他 |
制作
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1998年/中国 |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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109分 |
評価
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★★★ |
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<ストーリー>
現代中国で繰り広げられる数組のカップルの愛と人生の機微。「声」「マージャン」「おもちゃ」「十三香」「写真」という5つの物語によるオムニバス作品。第1話「声」。少年が淡い恋を告白するのに、レコーダーを駆使して少女にテープでアタック。そのテープが少女の両親にばれ、2人は引き裂かれてしまうが.....。
<コメント>
歴史ものを中心とする従来の中国映画の印象を覆す新鋭チャン・ヤン監督の作品。中国語の原題『愛情麻辣○(最後の文字は”湯”の下に”大”という文字ですが、パソコンで打てません...)』にもある火鍋料理(激辛スープとあっさり白湯スープの2つが一緒になった鍋料理)みたく、さまざまな年齢の男女が繰り広げる悲喜こもごもの物語5話から成るオムニバス。どの物語も淡々と描いているようで意外と内容が濃いです。ラストシーンもそれぞれによく考えられています。ある女性がテレビを通して新たな伴侶を得ようとする話と、離婚手続きを進める両親を何とか繋ぎとめようとする子供の話の2つは特に印象的でした。ただ、全体的に演出としてはかなりベタな部分もあるので、ちょっと見ていてくすぐったくなる場面も多かったですね。
中国映画というと、とにかく歴史ものやカンフーものが思い浮かぶのですが、本作でチャン・ヤン監督がカメラで追うのは徹底して”個人”です。そして、楽しかったり、切なかったり、何気ない物語たちを通して伝わってきたのは現代中国人の”不安”です。どの物語の登場人物もメディアこそ違えど、レコーダー、テレビ、おもちゃ、カメラ等、”モノ”に依存しています。依存、と言うと大げさかもしれませんが、モノが生活の中で大きな役割を果たしています。そして、人々はモノを通してつながったり理解しあったりしますが、果たしてそれが確かなものかどうかわかりません。それでもそれぞれ人生は続き、人と人は関わり続けます。
例えは悪いかもしれませんが、田舎の人が(私も田舎生まれです)、やたら最新型の家電や機械を取り入れて田舎を都会化してしまう居心地の悪さに似ている気がします。この作品は遠い中国だけの話ではなく、そのまま私たち日本にも当てはまる話だと思います。とは言え、そういう利便性を生むものを捨てればよいと言うわけではありません。本当に誰かを理解することなんて無理なのかもしれない、そんな”不確かな現代”をあらためて認識させてくれる作品だと思います。 |
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