No.297
タイトル
ソイレント・グリーン
(原題)
SOYLENT GREEN
監督
リチャード・フライシャー
脚本
スタンリー・R・グリーンバーグ
キャスト
チャールトン・ヘストン、エドワード・G・ロビンソン他
制作
1973年/アメリカ
ジャンル SF
上映時間
98分
評価
★★★★
<ストーリー>
2022年、ニューヨーク。爆発的な人口の増加と環境汚染により、食糧問題は深刻を極めていた。同年、ソイレント社は合成食品ソイレント・グリーンを発表。問題は解決に向かうかと思われたとき、同社の社長が自宅で殺害されているのが発見される。殺人課のソーン(チャールトン・ヘストン)が捜査に乗り出すがその背後には政府の陰謀が渦巻いていた.....。

<コメント>
ハリー・ハリソンのSF小説『人間がいっぱい』(『MAKE ROOM! MAKE ROOM!』)を巨匠リチャード・フライシャー監督が映画化した作品。チャールトン・ヘストンにエドワード・G・ロビンソン(残念ながら本作が遺作となりました)と、渋いどころをキャスティング。”環境”や”人口問題”をテーマに風刺の効いた作品に仕上がっています。
2022年のニューヨーク。街には食べ物が無く、人間が溢れています。全体を通して人類の行く末が悲観的に描かれていますが、怖いのは、人間が徹底的にモノとして扱われているところ。特に新しい食料”ソイレント・グリーン”の在庫が少ないことから暴動になるところ。人間が巨大なブルドーザーですくい上げられて排除される場面はゾッとします。人間の傲慢さが結果的に自らの価値を貶めてしまうのでしょうか。
来るべき世紀末を描いたSFという意味で、ダークな雰囲気は必然ですが、それでも見ていて心を揺さぶられるのは、主人公のチャールストン・ヘストン演じるソーンとエドワード・G・ロビンソン演じる老人ソルのやり取り。ソーンが職権乱用でかすめてきた食料(あまりにも自然な盗み方に笑ってしまいます)でディナーをとる場面、人間にとって”食”というものが特別な意味を持っていることが伝わってきます。
そしてこの作品のハイライトとも言える、ソルが”ホーム”で見る美しい自然のパノラマ映像。私たちを包む自然という環境の大切さを感じる時、人間が何かこの世界の異物のように思えてきます。そして、そんな傲慢な異物が増えたことによって引き起こされる悲劇。見方によっては、人間にとって幸せとは一体何なのか、ということも考えさせられます。
作中、「美味しい食べ物や美しい自然が今は見られない」という内容の台詞が繰り返し出てきますが、かといって、今の2006年にそういうものがあるかというと、少なくとも満ち溢れてはいないと思います。実はそれが一番恐ろしいことかもしれません。

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