No.64
タイトル
恐怖の報酬
(原題)
SORCERER
監督
ウィリアム・フリードキン
キャスト
ロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル他 
制作
1977年/アメリカ
ジャンル サスペンス
上映時間
121分
評価
★★★★
<ストーリー>
教会を襲って金を奪い、車で逃走中に事故が発生、結局組織から追われる羽目になったアメリカ人ドミンゲス(ロイ・シャイダー)。銀行員であったが不正が発覚し、金策尽きてパリを後にしたフランス人セラーノ(ブルーノ・クレメル)。その他様々な事情を抱えるものが流れ着く南米奥地の小さな町。やがて300キロほど離れた油田で爆発事故が起こる。支配人は爆風で消火するしかないと決断、高額な報酬と引き換えに危険なニトロを運ぶ運転手を募る。そして選ばれた4人による命がけのドライブが始まった.......。


<コメント>
1952年にフランスのアンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督によって製作された不朽の名作『恐怖の報酬』(原題『Le Salaire De La Peur』)。フランスのトップ・スターであるイヴ・モンタン扮する主人公マリオを筆頭とする4人の男たちが2台のトラックを操り、命がけでニトロを運ぶこの物語はその後の一触即発のサスペンス・アクションものに多大な影響を与えました。
今回の作品はその名作のリメイク版です。監督は、『フレンチ・コネクション』(1971)、『エクソシスト』(1973)というアメリカ映画史に残る2作品で知られるウィリアム・フリードキン。

私は最初にW.フリードキン監督のリメイク版を見たのですが、まるで怪物のような形相のどでかいトラック、悲壮感漂うロイ・シャイダーの演技、雨や風が吹き荒れる中いつ落ちるともわからないつり橋を渡るシーン、それに全編に流れるタンジェリン・ドリームのダークな雰囲気のシンセサイダー音楽等のインパクトが鮮烈で、印象としてはこちらの方が強いです。
オリジナルに比べて、ニトロの運搬を妨害するアクシデントや事件は様々なアイデアが盛り込まれていますし、終盤の狂気を帯びた演出も幻想的なシーンと相まって良くできていると思います。

しかし、やはり見比べてしまうとオリジナルの方に軍配が上がりますね。舞台はともに南米の辺境にある小さな町なのですが、オリジナルは前半のけだるい雰囲気が秀逸です。この蒸し暑くどんよりした行き場の無い空気によって危険な仕事に命をかける男たちの宿命のようなものが浮かび上がってきますし、そこにちゃんと描き分けられた運転手4人のキャラクターが重なって、人間ドラマとしても見ごたえのあるものになっています。
それに引き換え、リメイク版の方は序盤で運転手となる登場人物の背景を時間をかけて描く割にはあまりキャラクターが浮き上がらず、なおかつ流れ着いた先に漂う閉塞感や焦燥感が今ひとつのような気がします。
しかし、ニトロを運ぶ道中の”いつ爆発するかわからない”というスリルと緊張感はオリジナル=直球勝負、リメイク=変化球という違いはありますが、どちらも楽しめます。そういう意味ではリメイク版は”アクション娯楽大作”というイメージでしょうか。ラストについてはそれぞれの解釈で締めくくっていますが、これはどちらも印象的で甲乙つけがたいです。

どちらから見ても大丈夫だとは思いますが、オリジナルはやはり星5つの出来です。アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督はこの作品でカンヌ国際映画祭グランプリ、ベルリン国際映画祭金熊賞に輝きました(リメイク版はアカデミー賞音響賞にノミネート)。なお、リメイク版ビデオは公開時より30分長い特別版です。

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