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No.58 |
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タイトル
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スモーク |
(原題)
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SMOKE |
監督
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ウェイン・ワン |
キャスト
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ウィリアム・ハート、ハーヴェイ・カイテル、フォレスト・ウィッテカー他 |
制作
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1995年/アメリカ、日本 |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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113分 |
評価
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★★★★★ |
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<ストーリー>
1990年の夏。場所はブルックリン。妻を亡くしてから新作が書けない作家ポール(ウィリアム・ハート)は、オーギー(ハーヴェイ・カイテル)が経営する行きつけの葉巻店からの帰り道に少年ラシードと知り合う。ラシードはどこか訳ありでつかみどころが無い。実は彼は蒸発した父親を探しており、なおかつトラブルに巻き込まれていた.......。
<コメント>
エイミ・タン原作のベスト・セラー小説を映画化した『ジョイ・ラック・クラブ』(1993)がヒットしたウェイン・ワン監督の作品。今回は今やアメリカを代表する作家となったポール・オースターの『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』がベースとなっています。
ブルックリンの街角のとある葉巻店から始まる心温まる(まさにこの言葉がぴったりだと思います)ヒューマン・ドラマです。
最初に舞台となるのはどこにでもあるような小さな街の葉巻店ですが、そこを切り盛りする主人は毎朝欠かさず同じ時間に同じ場所で写真を撮り続けているという設定。おしゃれなレストランや美しい夜景等の記号が無くとも、この設定だけで充分”都会的”なセンスを感じさせます。
またそこには地元の人々が集い、ジョークを交えたとりとめの無い会話が飛び交います。”気の利いた会話”それは厳しい日常をうまくやり抜くために人々にとって必要なエッセンスと言えるでしょう。こういった日常の情景をやり過ぎることなくさらっと見せるのは監督の演出の上手さでしょうか。
また演出や脚本もさることながら、とにかくキャスティングが素晴らしく、ウィリアム・ハート、ハーヴェイ・カイテル、フォレスト・ウィッテカーらの演技派俳優陣が、心のどこかに陰を持ちながらも一生懸命前向きに生きる男達を見事に演じています(ハーヴェイ・カイテルにいたっては格好良すぎ)。
彼らが語る言葉や物語は彼らが今までの人生で経験した幸せや痛みを感じさせ、我々の心に直接語りかけてくるようです。
物語はオムニバス形式で進行しますがこれもテンポが良くて成功していると思います。作品終盤で奏でられるトム・ウェイツの『Innocent When You Dream』がまた渋い!
ブルックリンを舞台にしながらも必要以上に重くならず、シンプルで軽さを残しながら男達の、人間達の哀愁や温かさを感じさせてくれる良質の大人のドラマと言えると思います(こりゃまたワインが進みます)。
この作品が気に入った方は、続編とも姉妹編とも言える同じくウェイン・ワン監督の『ブルー・イン・ザ・フェイス』をぜひご覧ください。淡々と語り続けるニュー・ヨークの”顔”ルー・リード、キレた白人を演じるマイケル・J・フォックス、とぼけた味わいのトークを披露するジム・ジャームッシュ等、見どころ満載です。本作と比べるとちょっととりとめの無さは感じますが、肩の力を抜いて楽しめる1本です。 |
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