No.322
タイトル
私に近い6人の他人
(原題)
SIX DEGREES OF SEPARATION
監督
フレッド・スケピシ
脚本
ジョン・グェア
キャスト
ストッカード・チャニング、ウィル・スミス他
制作
1990年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
112分
評価
★★
<ストーリー>
NY5番街でハイソに暮らす美術商のフランク(ドナルド・サザーランド)とウィザ(ストッカード・チャニング)夫妻。ある日、大切な客を迎えたパーティに、黒人青年ポールが舞い込んでくる。シドニー・ポワチエの息子と名乗るポールは、ウィットに富んだ会話と見事な手料理で商売を成功に導くが、彼の話には嘘が隠されていた.....。

<コメント>
NYの上流階級の日常に突然現れた黒人青年と、彼の言動に翻弄される人々の困惑を皮肉たっぷりに描いた作品。監督は『愛しのロクサーヌ』(1987)のフレッド・スケピシ。正体の知れない謎の黒人青年を、今や大スターとなった若き日のウィル・スミスが演じています。

ドナルド・サザーランドとストッカード・チャニングが演じる主人公の夫婦フランクとウィザは、いかに自分たちの生活を維持するかということが最大の関心事であり、その柱となるものは”お金”。とにかく絵画を高く売って経済的危機を回避して今の階級のコミュニティに残ることが唯一の願い。そんな彼らは、突然現れた黒人青年ポールの話術と振舞いからすっかり同じ階級の人間だと思いこみ気を許してしまいます。彼らだけでなく、他にもポールに関わった人々が、彼の不思議な魅力によっていとも簡単に自分の本性をさらけ出してしまうところが面白いですね。ポールがどういう人物なのか、おそらく人として一対一で向き合えば、実はすぐにわかること。他者に対して自分と同じ階級であるかどうかという表層の記号で判断をするから本質が見えないのではないでしょうか。
ただ、妻のウィザだけはポールの巧妙でありながら純粋さを感じさせる真っ直ぐな生き方に心打たれ、自らの態度や価値観に変化が起こります。友人にお金を無心する際もいろいろと取り繕う夫に比べ、相対的にポールが純粋に見えたということもあるのでしょう。人生とは頭の中で起こっている虚構ではなくて、まさに他者との関係やおいしい料理や愛やセックスや血や涙で構成されているということが改めてわかったとき、そこから新たな、というか本当の人生がスタートするのかもしれません。
ウィル・スミスの若々しい演技も一見の価値あり。”狙い”なのかもしれませんが、カンディンスキー、セザンヌ、サリンジャーなど、芸術に関する会話はちょっとうざったい気も。個人的には徹底的にコミカルにやっても面白いのではないかと思いました。

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