No.365
タイトル
セルピコ
(原題)
SERPICO
監督
シドニー・ルメット
脚本
ウォルド・ソルト他
キャスト
アル・パチーノ、ジョン・ランドルフ他
制作
1973年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
130分
評価
★★★★★

【 ストーリー 】
警察学校を卒業し、希望と使命感に燃えてニューヨーク市警の勤務についた若き警官セルピコ(アル・パチーノ)。彼は地元の麻薬をとりしきるボスからの賄賂を拒否したために左遷させられる。市警に根強くはびこる汚職は、上司にも検事にも公然のものだったのだ。そんな腐りきった組織に一人セルピコは挑戦する.....。

【 コメント 】
『十二人の怒れる男』(1957)や『未知への飛行』(1964)などなど、社会派作品からエンターテイメント作品まで、数々の名作を生み出してきたシドニー・ルメット監督作品。ニューヨークを舞台に、腐りきった警察組織の中でただひとり抗う警官の姿を描いたもので、実話の原作がベースとなっています。

孤高の警官・セルピコを演じるのは、同監督の『狼たちの午後』(1975)でも凄まじい演技を見せつけたアル・パチーノ。同作や彼の出世作『ゴッドファーザー』(1972)に比べると若干地味な印象がありますが、熱い魂を内に秘めた人物像を表現した素晴らしい演技だと思います。目のチカラが半端じゃない。やはり70年代のアル・パチーノは最強ですね。一時期、『メメント』(2000)や『L.A.コンフィデンシャル』(1997)のガイ・ピアースを見て、”とうとう後継者が現れた?(ちょっと顔のタイプが違うけど)”と期待したのですが、最近ちょっと元気が無いですねえ。アル・パチーノは激情型のキャラクターを演じることが多いですが、私は彼が感情をぶちまけた後の目の演技がすごいと思います。本当に伝えたいことは言葉では無理。行動が全て。というような凄みがあります。

アメリカの映画やテレビにはよく”ヒーロー”が登場します。普通の人間にはあり得ない”神”のような能力を持ち、さまざまな問題を無償で解決してくれる。最近でこそ”スパイダーマン”や”ハルク”のように人間の延長として悩みを持つヒーローも登場しましたが、80年代あたりまでは、とにかく強いヒーローが蔓延していていました。しかしながら、現実のアメリカの社会では貧困や人種差別など問題が山積みで、そういった社会の暗部で正義感を持って戦っている人々が多くいたはずです。組織の中では、あまりのバカ正直さや生真面目さは時に疎まれます。しかし、それが命を懸けた誠実さによって貫かれるとき、世界が変わり始めるのかもしれません。そういう意味で、セルピコは、まさにアメリカの裏社会のヒーロー像だったのではないでしょうか。

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