No.61
タイトル
サミー & ロージイ
(原題)
SAMMY AND ROSIE GET LAID
監督
スティーヴン・フリアーズ
キャスト
サシ・カブール、フランシス・バーバー、ローランド・ギフト他 
制作
1987年/イギリス
ジャンル ドラマ
上映時間
99分
評価
★★
<ストーリー>
伝統と革新が入り乱れるロンドンで、それぞれの思想や人種を越えて付き合うカップルサミー(アヤブ・カーン・ディン)とロージイ(フランシス・バーバー)。2人のもとにかつてサミーを捨てた父ラフィ(サシ・カブール)が戻ってくる。しかし街は黒人女性が射殺されたことで暴動が起こり危険な状態に。そんな中2人はラフィのためにパーティを開く.......。


<コメント>
『マイ・ビューティフル・ランドレッド』を初めとする”ロンドン3部作”(続く『ブリック・アップ』と本作。もちろんどれから見てもOKです)で注目されたスティーヴン・フリアーズ監督の作品。同監督は『危険な関係』(1989)でアカデミー賞3部門を制覇する等メジャーな活躍も多く、軽やかでマニアックな演出が楽しかった最新作『ハイ・フィディリティ』も記憶に新しいですが、この頃はもっとシビアに社会の現実を切り取っていました。

この作品では特にUKアジアンの戦いと苦悩を中心に移民・失業・人種差別等、様々な問題を抱える英国(=ロンドン)の現状を浮き彫りにしています。
作品の中では様々な思想や人種の元に生きる人々が複雑に交錯します(ちなみに邦題には”それぞれの不倫”というサブタイトルが付けられています。まあ間違いではありませんが.....)。マイノリティとして戦う者、新しい自由な精神を求める者、伝統的な価値観に居座る者、等々。しかしながらキスやセックス等の肉体によるコミュニケーションは簡単に成立するものの、結局本当に理解し合うことはありません。またそういった個人の思想や行動に関わらず、いわゆる”社会の現実”というものが彼らに否応なく迫ってきます。この辺りをさほど重くならず、しかし遠慮なく描いていて、その遠慮のなさが逆に人々のたくましさを浮き彫りにします。
この頃の作品を見ると、運命に翻弄されながらもその中で一生懸命生きていく人間達を描くのがうまい監督だなあと改めて思います。
こういう作品を見ると「だからこそ我々はどうしなければならないのか」というようなことを感じさせられます(個人的にはそれでもやはり理解しあおうとする気持ちを継続することが大事だと思うのですが)。
ただ混沌とした当時の雰囲気は伝わってくるものの、魅力的な登場人物が少なく、作品としての印象は薄くなってしまった気がします。

公開当時日本では、80年代に一世を風靡したファイン・ヤング・カニバルズのボーカルであった美男子ローランド・ギフトが出演しているのがちょっと話題になりました。ここではスラムに暮らす黒人青年ダニーの役を演じていますが、ちょっとスマートすぎた感はあるものの、厳しい現実に直面しながらもしっかりと生きていく芯の強さみたいなものは伝わってきました(これは演出が良いからかもしれませんが)。
映画には関係ありませんが、個人的にファイン・ヤング・カニバルズは大好きなバンドでした。この頃(80年代)イギリスでデビューしたロック・ミュージシャンで現在でも生き残っている人が少ないのがちょっと残念です。当時はロックも過渡期だったのかもしれません。

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