No.275
タイトル
聖者の眠る街
(原題)
THE SAINT OF FORT WASHINGTON
監督
ティム・ハンター
脚本
ライル・ケスラー
キャスト
マット・ディロン、ダニー・グローヴァー、リック・エイヴィルス他
制作
1993年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
107分
評価
★★★★
<ストーリー>
フォート・ワシントン宿泊所。無数のベッドにホームレスたちが横たわるその一角で出会った二人。カメラマンで精神分裂症の白人男性マシュー(マット・ディロン)と孤独な黒人老人ジェリー(ダニー・グローヴァー)。ふとした事件から意気投合した二人は、屋根のある普通の暮らしを夢見て宿泊所を逃走する.....。

<コメント>
『テックス』(1982)、『リバース・エッジ』(1986)等の秀作を世に送り出したティム・ハンター監督作品。レイ・リオッタとウィレム・デフォーが火花を散らす最新作『コントロール』(2004)もよかったですね。本作は社会からはみ出し、苦労しながらも共に助け合い、タフに生きる二人の男の友情を描いた物語。
アパートを追い出されやむなく宿無しになった学生にマット・ディロン、極貧生活でありながらも希望を持ちたくましく生きるホームレスにダニー・グローヴァーがキャスティングされています。この二人の演技がやりすぎていなくて素晴らしく、他にこれといった登場人物が出てこない地味な作品なのですが、骨のあるドラマになっています。二人の過去があまり掘り下げられないのですが、その分現在の暮らしに焦点が絞られ、重過ぎないテイストになっているのがいいと思います。
ダニー・グローヴァーが”人間味のあるホームレス”という意味で少し優等生すぎる気がしますが、それでも作品全体のトーンが抑え気味なのでバランスは取れています。変にコメディっぽくなっていないところも好感が持てました。
人間はどん底に落ちた時に善か悪かがはっきりします。そして善も悪も関係無しに人間は一人で生きていけないことも明らかになり、さらに夢や希望がなければ生きていけないことが分かります。人生に奇跡は起こるかもしれないけれど、だからと言って幸せになれるとは限りません。また、夢が叶わなかったからと言って不幸だとも言い切れない。ただ淡々と人生はそこにあるのです。そしてその人生を歩んでいくためには私たちはもっとタフでなければならないのです。

<以下、ネタばれ注意!>
マット・ディロン演じる学生がカメラを持っているのが伏線となっているのですが、このカメラで撮られた写真の使い方がいいですね。写真が売れてものすごいお金になっていたら、結局ありきたりな物語で終わっていたでしょう。単純に見れば哀しいラストですが、それでもその悲しみを乗り越えて生きる人間の強さが胸に響きます。

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