No.113
タイトル
リバース・エッジ
(原題)
RIVER'S EDGE
監督
ティム・ハンター
キャスト
デニス・ホッパー、クリスピン・グローヴァー、キアヌ・リーヴス他
制作
1986年/アメリカ
ジャンル 青春ドラマ
上映時間
99分
評価
★★
<ストーリー>
アメリカの片田舎の町に住む若者たち。彼らの仲間の一人サムソン(ダニエル・ローバック)が同級の女の子を殺害してしまう。動揺しながらもどこか無関心な仲間たちに構わず、レイン(クリスピン・グローヴァー)は彼を救うためひとまず元暴走族のフェック(デニス・ホッパー)に相談するが.....。

<コメント>
マット・ディロンを主役に配した『テックス』(1982)で注目を集めたティム・ハンター監督の作品。主演は『陽だまりのグランド』(2001)で『マトリックス』(1999)のシャープさだけでなく、ヒューマニズムも表現できるところを見せたキアヌ・リーブス。怪優デニス・ホッパーにクリスピン・グローヴァー等、なかなか面白いキャスティングで、若者たちの荒涼とした心情を描いた作品です。
始まりは川べりに放置された女性の死体。彼女を殺した若者と友人たちとの人間関係を中心に物語は展開していきます。

どちらかというとキアヌ・リーブスの出世作として、またはデニス・ホッパーの変質者的キャラクターの面白さなんかで語られることが多いこの作品ですが、ここで存在感を見せ付けるのはなんと言ってもクリスピン・グローヴァーですね。殺人を犯してしまった友人を助けるべく奔走する役柄ですが、ここで描かれる”つながり”は、本当の友情から派生したものというよりは、荒廃した街で生きて行くために同じもの同士がつながっていなければいけないという乾いた絆。彼の演技は、その危うさ・諸さを見事に表現していると思います。殺人という事実やそれに対する取り巻き達の冷静な反応をだらだらと見せられるより、ストリートに生きる弱者としての彼の焦燥感を見せられる方がよっぽどひりひりした空気が伝わってきます。これは見事。こういう空気の中で生きていかなければならないがゆえに、彼らは道を踏み外してしまうのです。
それに比べると、キアヌ・リーブスからは切迫した感覚が伝わらず、結果、いてもいなくてもいいようなキャラクターになってしまいました。彼の立場からすると、結局は家に残って真正面から家族と向き合うか、町を出るかの二つしか選択肢は無いはずです。で、大体の場合、若者はまず町を捨てて新天地を求めて旅をするのだと思いますが、ここでは中途半端にぬるーく生きてしまう辺りがどうにもお坊ちゃんぽい。子供たちとの関係も突っ込みが浅いです。
また、デニス・ホッパーはあまりにも変質者的過ぎる気がします。その反面、道化役として作品に与えるインパクトを考えた場合、例えばデビッド・リンチの『ブルー・ベルベット』(1986)で見せた凄みなんかと比べると一歩譲ります。若者たちの代弁者としての役割も弱い。まあ、デニス・ホッパーが脚本にほれ込んだとありますから、本人は気に入ってやっていたんでしょうけれど。

あと、余談ですが個人的には死体を裸のまま野放しにしたり、転がしたり、ぞんざいな扱いをする作品はあまり好きではありません。文章で表現される分にはまだ自分の想像の範囲内なので大丈夫なのですが、映像になるとちょっとどぎつい感じがしますね。こういう作品ではせめてそれらを補う幻想性やカタルシスやが用意されていて欲しいです。ちょっと残念。

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