No.376
タイトル
父、帰る
(原題)
VOZVRASHCHENIYE
監督
アンドレイ・ズビャギンツェフ
脚本
ウラジーミル・モイセエンコ他
キャスト
イワン・ドブロヌラヴォフ、ウラジーミル・ガーリン他
制作
2003年/ロシア
ジャンル ドラマ
上映時間
111分
評価
★★★★

【 ストーリー 】
母とささやかに暮らしていたふたりの兄弟のもとに、家を出ていた父が12年ぶりに帰ってきた。写真でしか見たことの無い父の突然の出現に兄弟の思いはさまざまに揺れ動き戸惑うが、父は無口で何の説明もしない。そして父は、二人を湖のへの小旅行に誘う。それは父子水入らずの、初めての楽しい旅のはずだったが.....。

【 コメント 】
ロシアの無名監督、アンドレイ・ズビャギンツェフが2003年に世界に放った驚くべき内容の作品。同年のヴェネチア国際映画祭で絶賛され、最高賞である金獅子賞と新人監督賞をダブル受賞しました。
12年の失踪を経て突然家に戻り、平然と父権を振りかざす父親、思春期の中で強い男に憧れ、父に従う兄、まだまだ父性よりも母性に頼りたい弟。ただ戸惑うばかりの母親。息子たちとの距離をつかみかねる父親と、そんな父を前に戸惑う兄弟の心の揺れを描ききった作品です。
ちなみに、本作のような映画はなかなかネタばれ無しで感想を書くことが難しいので、以降その旨ご了承ください。

全体的に説明が少なく、謎の多い作品ですが、父が帰ってきたと思ったら実は死んでいた、とか、実は兄弟の幻想だった、というような(そう取れなくも無いですが)ファンタジーを介入させない硬派な作り。
監督の緊張感のある演出と子どもたちの自然な演技で、さほど特別なストーリー展開は無いものの、最初から最後まで目が話せません。何より、ひとコマひとコマ考え抜かれた構図、色彩で彩られた映像が素晴らしい。それぞれの登場人物が心に抱える不安や緊張感とは対照的に、自然の姿は圧倒的に美しい。

父親は短い時間の間に父性の尊さを子どもたちに叩き込み、そして黄泉の国へ帰っていきます。子どもたちの心の中に父性に対する尊敬の念が芽生えたのかというと、ラストシーンの連続写真の中に父の姿は登場しません。最後の最後にその存在を細々と訴えるかのように現れるだけ。父性とは、家族を、この世をつかさどる権力でも何でもなく、ただ、家族を守るために父親に与えられた使命というだけのことなのかもしれません。
人と人の対話なくして信頼関係はありえないし、信頼関係がなければ例え血のつながった家族と言えど、人生を分かち合うことはできません。研ぎ澄まされた映像、静かな音楽、すべてが文学性を感じさせる作品です。

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