No.424
タイトル
ペイ・フォワード 可能の王国
(原題)
PAY IT FORWARD
監督
ミミ・レダー
脚本
レスリー・ディクソン
キャスト
ハーレイ・ジョエル・オスメント、ケヴィン・スペイシー他
制作
2000年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
123分
評価
★★★★

【 ストーリー 】
アルコール依存症の母と家を出て行ったDVの夫との間に生まれた少年トレバー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)。彼が通う中学校の担任の先生シモネット(ケヴィン・スペイシー)は生徒達に、「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら、何をするか?」と生徒たちに問いかける。トレバーは自分が受けた思いやりや善意を、その相手に返すのではなく、別の3人に渡すという”ペイ・フォワード”を提案するが...。

【 コメント 】
中学生の男の子の思い付きから始まった”善意の連鎖”。果たして世界は人間の善意によって変わることが出来るのか?天才子役ハーレイ・ジョエル・オスメントと無表情の演技派ケヴィン・スペイシーを主役に、”善意の連鎖”が紡ぎだす物語をドラマティックに描き出した作品。

原作者のキャサリン・ライアン・ハイドは、治安の悪い町で車がエンストした際、車に近付いてくる男2人に恐怖心を抱いたものの、実際にはハイドの車を快く修理してくれたという出来事に、この物語の発想を得たそうです。
他人に優しくされて気持ちのよい思いをしたという経験は誰にでもあるはずで、それをシステム化しようというのは面白い試みだと思います。本作を見ていても、人々の善意=優しさがさまざまな事柄を解決したり、人を救ったりする様は見ていても非常に心地いい。

ただ、ミミ・レダーは『ディープ・インパクト』(1998)の監督。サイドストーリーとして語られるホームレスの物語にしても(ホームレス役のジェームズ・カヴィーゼル、いい味出してます)、ラストシーンにしても、あまりにもドラマティックに演出しすぎている気がします。

取り上げられている問題は人間関係や貧困などリアリティがあるのですが、しかし、さらなるリアリティを追求してしまうと、”親切の押し売り”的問題も発生するでしょう。また、”世界をよくする”とは程遠い、個人レベルの小さな親切も多いはずで、そう考えて行くと、ラストシーンで、善意の連鎖と相対する憎悪をわざわざ登場させる必要があったのかどうか疑問です。
ある種ファンタジックな物語として終わった方が、さまざまなことを考えさせられる作品になったのではないかと思います。

それでも、ヘレン・ハントが母親と対峙する場面など印象的場面も多いです。驚くほどあっさりしていますが、それが逆に泣けます。人間って本気で変わろうと思えばおそらく1秒も必要ない。それこそが人間の本当の強さかもしれません。

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