No.219
タイトル
とまどい
(原題)
NELLY & MONSIEUR ARNAUD
監督
クロード・ソーテ
キャスト
エマニュエル・ベアール、ミシェル・セロー、ジャン=ユーグ・アングラード他
制作
1995年/フランス、イタリア、ドイツ
ジャンル ドラマ
上映時間
106分
評価
★★★★
<ストーリー>
パリに住む美しき人妻ネリー(エマニュエル・ベアール)は失業中の夫を抱え、日々パートの掛け持ちに明け暮れている。そんなある日カフェで偶然知り合ったのが年配のブルジョア紳士アルノー(ミシェル・セロー)。判事から実業家に転身して成功している彼は、ネリーがお金に困っていると知ると献身的な援助を申し入れる.....。

<コメント>
『愛を弾く女』(1992)が世界的に高い評価を得たクロード・ソーテ監督が、同作に続き、同じくフランスの人気女優エマニュエル・ベアールを主演に配して撮った作品。脇を固めるのは『Mr.レディ Mr.マダム』(1978)のベテラン、ミシェル・セローに『ベティ・ブルー』(1986)のジャン=ユング・アングラード。
主人公の女性を取り巻く男は三人。すでに愛の醒めてしまった夫、ふとしたことから知り合った老紳士、そしてその老紳士を介してめぐり合った若くてハンサムな編集者。ストーリー的には驚くような展開は無く、始まりから終わりまで物語は静かに進行します。作中に流れる音楽も必要最小限。それでも退屈せずにあっという間に見終わってしまうのは、エマニュエル・ベアールの美しさと演技に負うところが大きいでしょう。顔の上半分が目と言っても大げさでない彼女ですが、かわいらしいだけじゃなくて、芯の強さを感じさせるところが素晴らしいです。もちろん、クロード・ソーテ監督の淡々としていながら繊細な演出、ミシェル・セローの落ち着きのある演技、ジャン=ユーグ・アングラードの真っ直ぐで優しいキャラクターも良いです。個人的には大ファンのジャン=ユーグ・アングラードにもっと出番があれば、という感じですが(笑)。

それぞれの人間関係を考えていくと、最終的に恋人と呼べるのは若い編集者だったはず。夫にも、というか夫との結婚生活にも多少の未練は感じ取れるので、離婚しない、という判断も出来たはず。では、それらを差し置いて老紳士との間が一番大切だったかというと、もちろんそれなりに恋愛感情はあったものの、特に何がおきるわけでもない。この微妙な関係。しかし、ここで思うのは、実は彼女は本当に人を愛したことが無かったのではないかという事です。編集者との恋において自分中心な部分は否めませんが、そもそも恋とはそういうもの。また、夫との離婚に関しても、フランスにおける離婚への倫理観は多少割り引いたとしても、まあ別れる時はそんなものなのでしょう。しかし、老紳士との間は違いました。肉体的な関係なんて無くても、きっと心が通じ合ったところがあったのではないでしょうか。それが、終盤の彼女の心の揺れにつながっている気がします。無くなって始めて気づく、そんな感情がきっと存在するのでしょう。それは言葉で言い表せるものではなくてまさに心で感じるものかも知れません。そういう感情に出会ったとき人はとまどうのでしょう。しかし、私たちはそうやっていろんな感情を知っていくのではないでしょうか。主人公ネリーが見せるはかない純粋さ、そして老紳士からにじみ出る人生の重さが何とも印象的な作品です。

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