No.213
タイトル
ミスティック・ピザ
(原題)
MYSTIC PIZZA
監督
ドナルド・ペトリー
キャスト
ジュリア・ロバーツ、リリ・テイラー、アナベス・ギッシュ他
制作
1998年/アメリカ
ジャンル 青春ドラマ
上映時間
103分
評価
★★★
<ストーリー>
コネチカット州の小さな漁港の町、ミスティック。世界一おいしいピザを出す店、”ミスティック・ピザ”ではジョジョ、デイジー、キャットという3人の女の子がアルバイトしている。3人はそれぞれに恋人ができるが、それぞれに悩みを抱えている。それでもお互いに傷つけ合い、助け合いながら成長していく.....。

<コメント>
飾らない女性を主役に配したコメディが得意なドナルド・ペトリー監督の作品。アメリカの田舎町にある人気店”ミスティック・ピザ”で働く三人の女性がそれぞれに人生を模索しながら成長していく姿を描いた作品です。
どちらかと言うと地味な内容なのですが、キャスティングが絶妙なんですよね。後のオスカー女優ジュリア・ロバーツ、個性派として花開くリリ・テイラー、若手男優筆頭となるマット・デイモンらのデビュー作(正確にはジュリア・ロバーツのデビュー作は同年公開の『ブラッドレッド』ですが)と考えるとなかなかすごいです。主人公の女性3人のうちもう一人はアナベス・ギッシュですが、彼女もこれがまだ3作目。そういう視点から見るとまた違った面白さがあります。ジュリア・ロバーツは今見るとびっくりするほど迫力あるボディーだし、リリ・テイラーの存在感も普通じゃない。マット・デイモンはほとんど印象に残らないところが逆に印象的(?)。ジュリア・ロバーツの役どころは彼女のキャラクターにあっているのでファンの方は楽しめるでしょう。個人的にはあの天真爛漫な笑顔がちょっとアメリカ的すぎてあまり馴染めないんです...。繊細な役も出来る女優さんであるとは思いますが。

”女同士の友情をベースにしたちょっと切ない青春ドラマ”、という意味では王道を行く内容。3人それぞれに将来を憂い、恋する相手がいて、悩みや喜びを分かち合いながら成長していきます。それぞれの相手の男に突出して魅力的な存在がいない分、”恋愛おとぎ話”っぽさは控えめで好感は持てました。思春期の頃、世界は希望と不安が入り混じる不可解(=MYSTIC)なもの、ということなんでしょうか。
街のおいしいピザ屋さんが舞台となっているのに、お店そのものや経営者の人間性等の掘り下げがちょっと足りないのが残念。例えば、スパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライトシング』(1989)では、イタリア系移民の経営するピザ屋のピザが本当においしそうに描かれていたし、街の若者がそのピザを楽しみにしている様子もしっかりと伝わってきました。だからこそ、その後の展開がよけい胸に響いたんですよね。主人公の女性3人の人間関係がメインなのはわかりますが、他者の存在とその関係に伴うドラマにも、もう一工夫あれば良かったなと思いました。
後、気になったのが、ストーリー展開や演出があまりにストレートすぎて、全体的な雰囲気が少し古さを感じさせるところ。本作は1988年公開ですが、80年の前半と言われても違和感はないでしょう。舞台が田舎という事なのでしょうがないのかもしれませんが。
そういう意味で多少深みに欠けるものの、必要以上に重くなくて、後味は爽やかな作品だと思います。

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