No.338
タイトル
さよならモンペール
(原題)
MON PERE CE HEROS
監督
ジェラール・ロージエ
脚本
ジェラール・ロージエ
キャスト
マリー・ジラン、ジェラール・ドパルデュー他
制作
1991年/フランス
ジャンル ドラマ
上映時間
104分
評価
★★★★
<ストーリー>
14歳の少女ヴェロ(マリー・ジラン)は、離婚して別居中のパパ、アンドレ(ジェラール・ドパルデュー)とふたりで憧れのモーリシャス島へバカンスにやって来た。アンドレは、ヴェロの大胆な水着や海辺の男たちの視線にハラハラ。ある日、1人の青年に恋をしたヴェロは、青年に子供扱いされてついアンドレを自分の恋人だと嘘をついてしまう.....。

<コメント>
『裸足のマリー』(1993)や『愛と復讐の騎士』(1997)などで評価が高いフランスの女優、マリー・ジランのデビュー作。撮影当時ジランは16才だったそうですが、この年代の少女だけが持つ色気と瑞々しさは本当に魅力的。また女優としてもしっかり14歳の少女の微妙な心の揺れを演じています。傍らにいるのが大男のジェラール・ドバルデューですから(?)、なおさらそのキュートさが引き立っています。ジランの水着姿もたくさん登場し、これでは父親ならずとも心配になってしまいます。もちろん、ジェラール・ドバルデューも娘を守ったり、応援したり、ピアノを弾いたり、娘の心情の揺れに振り回される父親役を好演。この人も演技の幅が広いですね。

見ていてまず思うのが、フランスにおける父親と娘の関係として一般的なものが描かれているかどうかは別として、少なくとも日本人の親子ではこうはいかないだろうな、ということ。何でも話し合えたり一緒の時間を共有したり、そういうコミュニケーションが必ずしも良いかどうかは疑問ですが、少なくとも娘を自分の規範の中に押し込めるだけでなく、自立を願う関係性にはある種の清清しさを感じます。とは言いながらもやっぱり寂しい父親。父を尊敬しながらも若い男に惹かれる娘。娘に恋しながらも前に立ちはだかる男(父親なのですが)にたじろぐ若造。それぞれの登場人物がちょうどいいバランスで存在しています。こういういい意味での”軽さ”を持ったフランス映画って結構繰り返して見てしまいますね。

原題は『MON PERE CE HEROS』なので、直訳すると”パパはヒーロー”といった意味でしょうか。それに比べると邦題は「さよならモンペール」で、かなり微妙な気がしますが、ラストシーンの切ない感情を表現されているのだと思います。そう考えるとちょっと納得できる。邦題って難しいですね。
ちなみに本作は1994年に『恋人はパパ/ひと夏の恋』としてハリウッドでリメイクされました。父親役には同じくドパルデューをキャスティング。見ていませんが。
サーフィンやスカイダイビングなどのアクションシーンはスケール感がありますし、主役の二人が1対1で追いかけあうシーンもその長さを感じさせないほどスリルがあります。なかなか面白い。捜査官と犯罪者の間に生まれる友情、という展開は実はかなり無茶なのですが、それでもアクションシーンを交えて強引に最後まで見せてしまうところはスカッとします。サーファーのボーディが持つ精神性の高さと、その精神性に触れて魂を揺さぶられる捜査官の心情がもっとしっかりと伝わってくれば、かなりの傑作になる予感は感じさせるのですが。

<以下、ネタばれ注意!>
ひとつ気になったところ。終盤、キアヌの仲間が撃たれて死ぬくだり、必要だったかどうか疑問です。主役二人の仲間の喪失の度合いを帳尻合わせしたような気がして、納得いきませんでした。別にこれでリアリティが付与されたわけではありませんし。こういうところがハリウッドなんですよねえ。

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