No.191
タイトル
モナリザ
(原題)
MONA LISA
監督
ニール・ジョーダン
キャスト
ボブ・ホスキンス、キャシー・タイソン、マイケル・ケイン他
制作
1986年/イギリス
ジャンル ドラマ
上映時間
104分
評価
★★★
<ストーリー>
ムショから出たチンピラやくざ・ジョージ(ボブ・ホスキンス)がボスから与えられた仕事は、高級コールガール・シモーヌ(キャシー・タイソン)の客への送り迎えだった。最初はそりが合わなかった二人だが、いつしかお互いに親しみを覚えるようになる。そんな折、ジョージはシモーヌからある頼み事を引き受ける.....。

<コメント>
あっと驚くストーリー展開でアカデミー賞・脚本賞を射止めた『クライング・ゲーム』(1992)のニール・ジョーダン監督作品。中年男の恋とさえもいえないような熱くて淡い思いを描いた作品。
前半は少しコメディ・タッチのドラマで、後半はサスペンスっぽい緊張感が高まるなかなか面白い作品です。タイトルはモナリザですが、モナリザ=女性をメインに描いた作品ではありません。もちろん女性の立場で見ても構わないのですが、これはやはり中年男の遅れてきた青春物語。その中年男を演じるのがボブ・ホスキンス。彼の演技がいいですね。どちらかというと『ロジャー・ラビット』(1988)や『マリオ』(1993)(これインパクトありました)等のコメディものが有名ですが、ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』(1982)にも出演していますし、『トゥエンティフォー・セブン』(1997)なんかでも渋い役をやっているんですよね。本作でも刑務所上がりの不器用だけれど人情味のある男を自然に演じています。彼の出演作の中ではベストだと思います。アカデミー賞・主演男優賞こそノミネートだけに甘んじましたが、カンヌ国際映画祭、全米批評家協会賞、NY批評家協会賞等々、数ある映画賞の男優賞を総なめにしました。すごい。

ホスキンス演じるジョージは紅茶の銘柄も知らない男。カッとなりやすく、お人よしのところもあるためトラブルも多い、それゆえ人生思うように回らない。そんな彼が仕事で送り迎えをしている娼婦からの頼まれ事を引き受けたのは、彼女への思いもあるかもしれませんが、誰かの役に立つことによって自分の存在意義を確かめたかったのではないでしょうか。かつて良い関係を保てなかった家族(この人間関係をもう少し深く描いて欲しかったのですが...)へのしょく罪の気持ちもあるのかもしれません。ところがその気持ちに複雑な恋愛感情が絡み、どんどんと深みにはまっていきます。彼と娼婦とは、何かを共有しているようでしていないような微妙な関係。この距離感がなんとも大人で切ないです。 終盤、真実を知ったジョージが星型のかわいいサングラスをかけておどける場面は、良い意味でフランス映画っぽい名場面。

しかし、『クライング・ゲーム』でもボーイ・ジョージの同盟曲が使われていましたが、本作でもジェネシスの『IN TOO DEEP』を挿入歌として使用。悪い曲ではないのですが、少しポップすぎる感も。このあたりのある種のわかりやすさがニール・ジョーダンらしいとも言えますが。エンディングに流れるナット・キング・コールの大ヒット曲『モナリザ』はもちろん最高。歌が目にしみます。

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