No.134
タイトル
メナース2ソサエティー/ポケットいっぱいの涙
(原題)
MENACE 2 SOCIETY
監督
アレン・ヒューズ&アルバート・ヒューズ
キャスト
タイリン・ターナー、ラレンズ・テイト他
制作
1993年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
96分
評価
★★★
<ストーリー>
舞台はロサンゼルス・ワッツ地区。1965年に起こった大暴動では、暴徒と化した黒人たちに州兵が無差別に発砲、多くの死傷者を出した。そして時は流れ1993年。当時はほんの子供だったケイン(タイリン・ターナー)も社会に出る年齢に。しかし何とか学校は卒業したものの街に居場所は無く、友人たちと酒を飲み、ドラッグをやり、敵対する人間と戦う日々が続く.....。

<コメント>
個性派俳優ジョニー・デップを主役に配した切り裂きジャックの物語『フロム・ヘル』(2001)で、ダークな映像美を見せつけた双子監督アレン&アルバート・ヒューズの長編デビュー作。『フロム・ヘル』のようにこだわった映像は特に見られませんが、終始リアリティを失わない視点・演出でアメリカの黒人を取り巻く社会の闇を浮き彫りにしています。
まず冒頭の数十分で繰り広げられる、単純で突発的な事件、1965年の大暴動の様子、子供に酒を飲ませ、銃を握らせる場面に愕然。スパイク・リー監督の台頭下に頭角を現した二人だけあって、ことさらに恐れや怒りを感情的に描写せず、冷徹なまでに客観的な視点で描いているのは、やはりスパイクの影響でしょうか。結局この視点は最後まで変わらず、作中どんなに恐ろしい殺人が起ころうと哀しい出来事が起ころうと、まさにそれが俺たちにとってごく普通の日常なんだ、ということを主張しているようです。実は何よりも恐ろしいのは、もしこれが本当にリアルな黒人社会を描いたものだとしたら、こういったバイオレンスな生き様が日常なんだ、という事ではなくて、こんなにも救いがない社会なんだということ。さすがに身内の中には優しい言葉をかけてくれる人もいますが(それもどちらかというと信仰心からなのですが)、幼いころから暴力や人殺しが当たり前の環境で育ってきた若者たちには届きません。そもそも彼らの日常が”殺られたら殺りかえす”の繰り返し。これほど緊張が途切れない生活の中では、他人の言葉に耳を傾けいている余裕があるはずもない。社会のシステムや構造に救いがない以上、自らの意思で立ち直るしかないのだけれど、そういうことが出来るのは本当に一部の人間だけ、そしてそういう人間でさえもいずれは闇に飲み込まれていく。そのコミュニティ、社会(=ソサエティ)で生きる人間たちにとって本当にメナース(脅威)となるものは一体何なのか?考えさせられます。
全体的にはラップ・ミュージックを絡めたリズミカルな演出で飽きないのですが、登場する若者たちの家族の描きこみが不足している気がしました。スパイク・リーの出現以降、黒人社会の日常をリアルに描いた作品が数多く撮られてきましたが、中には単純にバイオレンスに重点を置いたものも多く、本作もそれら一連の作品と同じ感じがして、意外とメッセージ性がおとなしくなってしまったところが残念。

<以下、ネタばれ注意!>
最後まで救いのない視点で描かれている本作ですが、希望が全くないわけではないです。主人公が自分の死に直面したときに、自らの人生を悔いる感情が残っていたことが救いといえば救い。本当に小さく、すぐに消えてしまいそうな希望の光ですが、それを救い上げて見つめなおすことがすべての始まり。「光を見たときにはもう遅い」、と言ったのは誰だったか。

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