No.131
タイトル
殺しの季節
(原題)
THE MEAN SEASON
監督
フィリップ・ボーソス
キャスト
カート・ラッセル、マリエル・ヘミングウェイ、アンディ・ガルシア他
制作
1985年/アメリカ
ジャンル サスペンス
上映時間
94分
評価
★★★
<ストーリー>
マルコム・アンダーソン(カート・ラッセル)は30代半ばの一流ジャーナリスト。しかし妻との約束から第1線を退くつもりでいた。そんな折、ふとしたことから少女殺害殺人事件を追うことに。不本意ながらも現場で事件の調査を続ける彼に、ある日犯人から直接電話が掛かってくる。久しぶりのスクープを手にした彼は意気揚々と犯人を追うが.....。

<コメント>
ヒューマン・ドラマからアクション、ホラーまで幅広くこなす職人俳優カート・ラッセル主演のサスペンス。猟奇連続殺人を繰り返す犯人と事件を追うジャーナリストととの緊迫したやり取りが見所の作品です。監督は『グレイフォックス』(1983)のフィリップ・ボーソス。カート・ラッセルの妻役として文豪アーネスト・ヘミングウェイの孫娘(三姉妹の末っ子)であるマリエル・ヘミングウェイが出演。同じ犯人を追う立場ながら敵対する刑事役をアンディ・ガルシアが演じています。

猟奇的な殺人事件を舞台に追われる側と追う側の人間が直接コンタクトを取るシチュエーションはハリウッドでは良くある手法。古典的とはいえ、主人公が主導権を握られたまま犯人の言葉に翻弄される様子はスリルがあるのは確か。ただ大体はラストでなし崩し的に腰砕けになるんですけれどね。で、この作品もしかり。
主人公カート・ラッセルは妻との約束から現在の仕事から降りることになっているものの、心は揺れている。そんな時に犯人から直接コンタクトが。これが彼を現場にとどまらせる格好の理由となるのですが、それがまた妻の身を危険にさらすことにもつながるという皮肉な展開。なかなか面白い脚本です。カート・ラッセルの次第に立場を失い、追い詰められていく演技にリアリティがあり飽きさせません。アンディ・ガルシアの相変わらず熱い演技も好サポートで、作品全体の緊張感がぐんぐん高まっていきます。
犯人からのコンタクトで、最初こそスクープと喜んでいたのものの、それもつかの間、やがて犯人のメッセンジャー・ボーイと成り下がってしまう主人公の焦り。マス・メディアを通して自らの存在証明を試みるも、メディアを通しての存在証明の希薄さに気づき、主人公に嫉妬し始める犯人。このあたりの心理の対比はうまいですね。ジャーナリズムだとかマス・メディアだとか言っても、いざ社会犯罪と対峙したときには、それを解決できなければまったく何の意味も無く、下品なエンターテイメントにしかなり得ない様が浮き彫りにされています。実際に捜査を進める警察の足手まといにさえなる始末。主人公の努力と葛藤もむなしく、結局は犯人に蹂躙され、世間の笑いものになるしかない主人公。新聞社の上司の言葉「われわれは作り手ではなくて商人だ。ニュースを売るんだ」という言葉が見る側の脳裏から離れない...。
と、楽しめたのも中盤まで、終盤、犯人VS主人公の直接対決になってから以降は残念ながらありがちなB級サスペンスに。カート・ラッセルの演技はテンションが落ちないものの、跳ね橋のシーン等は思わず笑ってしまいました。犯人の殺人の動機や精神性も消化不良な感じです。ジャーナリストが主人公ですが、やっぱり社会派ドラマではなく、サスペンスとして楽しむのが正解か。

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