No.187
タイトル
おかしなおかしなおかしな世界
(原題)
IT'S A MAD MAD MAD MAD WORLD
監督
スタンリー・クレイマー
キャスト
スペンサー・トレイシー、ミッキー・ルーニー、ピーター・フォーク他
制作
1963年/アメリカ
ジャンル コメディ
上映時間
155分
評価
★★★★
<ストーリー>
砂漠のハイウェイを猛スピードで走っていた車が谷に転げ落ちた。現場に居合わせた4大の車から5人の男が助けに急行すると、生き絶え絶えの男が「州立公園に35万ドルの大金を埋めてある」と言い残して死んでしまう。途端に目の色が変わった一行は、その隠し場所めがけてデッドヒートを繰り広げる.....。

<コメント>
邦題に”おかしな”という言葉の付いた映画はたくさんありますし、”おかしなおかしな”と2回繰り返される作品も結構あります。『おかしなおかしな大冒険』(1973)とか『おかしなおかしな石器人』(1981)とかね。しかし、3回繰り返されるのはさすがに本作ぐらいではないでしょうか。原題に至っては”MAD”が4回も繰り返されています。すごい。しかも内容的にもそのインパクトのあるタイトル通り本当におかしいです。
監督はアクション・サスペンスと幅広い作風で社会を風刺する実力派スタンリー・クレイマー。出演は名優スペンサー・トレイシーをはじめとして、ジェリー・ルイス、ミッキー・ルーニー、ピーター・フォーク、バスター・キートン等豪華な顔ぶれ。150分にわたってスラップスティックなドラマが展開される喜劇映画の超大作です。

冒頭、事故によって息絶えた男が言い残した大金の埋められた場所を聞いてしまった7人の人間たち。この設定からもうわくわくします。皆で協力し合うのか、早い者勝ちになるのか、その確執の末に始まるカーレース。車も乗用車だし、ドライバーも普通の人だけれど、欲に絡んだ人間の放つオーラがレースをぎらぎらしたものに変えてしまいます。カーチェイスそのものの演出もさすがで、迫力があります。基本となるストーリーは単純なのですが、お宝を追いかけるグループそれぞれをテンポ良く捉え飽きさせません。飛行機で目的地へと目論むミッキー・ルーニー&バディ・ハケット組と、お店の地下に閉じ込められるイーディ・アダムス&シド・シーザーの2組のエピソードがあまりに突拍子もない感じですが、それでも圧倒的パワーでねじ伏せてしらけさせないところとがすごい。強欲おばちゃんを演じるエセル・マーマンの存在感もすごいし、その息子役のディック・ショーンのダンスにも爆笑。
さすがに長尺なこともあって、終盤になんとなく先が見えてしまうところもありますが、上手いことにそのあたりからピーターフォークが出てきて、画面を盛り上げてくれるんですよねー。全体的には喜劇なんだけれど、とにかく肉体的なギャグが連発されるため、アクションまたはスペクタクルと呼ばなくもないスケール感も観ていて楽しいです。ラスト近くはさすがにやりすぎの感があって少し興ざめしてしまいましたが、ちょっとした欲が雪だるま式に暴走し、結果的に人生を棒に振ってしまう人間の愚かさと哀しさが上手く描写されていると思います。その状況をほとんど当事者たちが把握していないところは笑いを通り越して怖いぐらい。
2時間半もかける必要があったのかどうか疑問もありますが、まあ、それだけ徹底して人間の欲深さをこき下ろしたということで。

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