No.47
タイトル
リービング・ラスベガス
(原題)
LEAVING LAS VEGAS
監督
マイク・フィギス
脚本
マイク・フィギス
キャスト
ニコラス・ケイジ、エリザベス・シュー他
制作
1995年/アメリカ
ジャンル 恋愛ドラマ
上映時間
112分
評価
★★★★

【 ストーリー 】
ハリウッドの脚本家ベン(ニコラス・ケイジ)は、酒に溺れ日常生活もままならない。悪態を重ねた結果、上司からクビを言い渡されてしまう。妻子もいなくなり、独りぼっちになった彼は、ラスベガスで死ぬまで酒を飲み続けようと決める。そんなある夜、街で娼婦のサラ(エリザベス・シュー)と出会う。孤独な身の上の二人は互いに惹かれあうが...。

【 コメント 】
ラスベガスで死ぬまで酒を飲み続けると決めたアルコール中毒の男と、孤独で寂しがりやの娼婦の愛の物語。マイク・フィギス監督が脚本・音楽まで手がけています。酒浸りの脚本家ベンを演じるのはニコラス・ケイジ、孤独な娼婦サラを演じるのはエリザベス・シュー。

ここで描かれているのは、孤独な男と女の破滅的な愛です。”破滅的”というと、最終的に成就しない恋愛を想像されるかもしれませんが、では恋愛の完成形とはどういう形体をさすのでしょうか。二人一緒に何不自由なく暮らしている状態でしょうか。すべての障害が取り払われた状態でしょうか。ベンとサラが繰り広げる恋愛は、どこまでも切なく、どこにも行き着かない関係です。決して、かっこよくないし、スタイリッシュでもありません。あまりにも不器用で、どうしようもなく無様です。しかしながら、最終的に、お互いが相手のことを心から信じ、愛することができたという意味では、間違いなく成就したひとつの愛の形です。おそらく二人はもっと違う形の関係性を結ぶことが出来たかもしれません。もっと健全で、もっと長く続く形をとることも出来たでしょう。ところがお互いの関係を客観視し、相手を許容していくには、二人ともあまりにも純粋で傷つきすぎていました。二人ともさまざまなトラブルを起こしますが、基本的には驚くほど真面目です。その誠実さゆえに二人がたどり着くしかなかった愛の形。
サラの告白として語られる構成は成功しているかどうか微妙な気もしますが、サラの物語として捉えればある種のハッピーエンドと言えるかもしれません。いずれにしても、純粋さを忘れてしまった私たちに無視することは出来ません。

本作で念願のアカデミー賞・主演男優賞に輝いたニコラス・ケイジの鬼気迫る演技はもちろん、エリザベス・シューの艶のある演技も見所です。スティングやドン・ヘンリーなどによる、都会的でクールな楽曲も素晴らしく、物語の雰囲気を盛り上げています。

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