No.199
タイトル
メリーゴーランド
(原題)
L'ULTIMA NEVE DI PRIMAVERA
監督
ライモンド・デル・バルツォ
キャスト
レナート・チェスティ、ベキム・フェーミュ、アゴスティーナ・ベリ他
制作
1974年/イタリア
ジャンル ドラマ
上映時間
95分
評価
★★★
<ストーリー>
幼いときに母を亡くし、弁護士の父は多忙で、いつも一人ぼっちのルカ(レナート・チェスティ)。それでもヴァカンスになれば、父と二人で海に行くことになっている。ところが父の愛人ベロニカ(アゴスティーナ・ベリ)も同行。突然出現した母ではない女性の存在に戸惑うルカ。そんなルカを原因不明のめまいが襲う.....。

<コメント>
幼くして母を亡くした息子ルカと仕事に明け暮れる父親との人間関係を中心に描いたドラマ。監督はこれがデビュー作のライモンド・デル・バルツォ。タイトルは”THE LAST SNOW OF SPRINGTIME”という意味です。
その”雪”と、邦題となっている”メリーゴーランド”が作品を印象付けるポイントとなるのですが、しかし、メリーゴーランドって特にヨーロッパ映画には良く出てきますよねー。街はずれにある小さな遊園地とか、移動式の遊園地とかね。ゆっくりとまわるメリーゴーランドを背景に、ノスタルジックな音楽を流すと(しかもそれがモノクロ映像だとなおさら...)、それだけで胸がキュンとするような切なさを感じさせますから、なかなかずるいアイテムです(笑)。
本作でまず印象的なのが主人公のルカを演じる少年。彼の少し大人びていながらも初々しい演技がリアリティにあふれ、つい見入ってしまいます。ちょっと太目の健康的なガールフレンド(?)とのエピソードも楽しく、場面によっては個人的に大好きな映画『小さな恋のメロディ』を彷彿させることも。このあたりさすがヨーロッパ映画。もちろんセンチメンタルなテーマソングやボサノヴァっぽい挿入曲等、素晴らしい音楽を巧みに取り入れているあたりも成功しています。少年がレコードを聞く場面、いいですね。まあ、ストーリー的には特に取り上げるほどのことはないので、冗長に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。それでも、美しい音楽のおかげもあって、前半は結構好きでした。
後半は父親と愛人との旅行に始まり、少年の病気の発覚から、クライマックスへと至ります。愛人役の女性も魅力的だし、少年と彼女の確執から理解にいたる過程も無理が無く好感が持てました。海や洞窟という舞台設定の上手さもあると思います。
ただ、ラストシーンに関しては、個人的にちょっとなじめませんでした。まだまだ純粋な10歳の少年の心の揺れとはかない人生を、美しい音楽と映像に載せて映像化、というと感動的ではあるのですが、あまりにもストレートで救いが無さ過ぎるように思います。このラストシーンを撮りたいがために、という感じがしてしまうんですよね。少し穿った見方かもしれませんが。別に病気を持ち出さなくても感動を呼び起こすことが出来そうな内容だけにちょっと残念です。後、父親の内面ももっと掘り下げて欲しかったですね。亡くした妻との関係とか。
良くも悪くも感動モノの王道を行く内容ではありますので、そういうのがお好きな方にはオススメです。

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