No.94
タイトル
クラッシュ・グルーヴ
(原題)
KRUSH GROOVE
監督
マイケル・シュルツ
キャスト
ブレア・アンダーウッド、ラン・D.M.C.、シーラ・E、ジョセフ・シモンズ他
制作
1985年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
94分
評価
★★★
<ストーリー>
クラッシュ・グルーヴという自主制作のレコード会社を運営するラッセル・ウォーカー(ブレアー・アンダーウッド)は、成功を夢見て忙しい日々を送っていた。やがて弟の”ラン”率いる人気ラップグループ”ラン・DMC”がブレイクし、着実に成功への階段を登り始めるが、そんな折、三角関係や借金等のトラブルが発生、徐々に窮地に追い込まれていく.....。

<コメント>
ニューヨークはブロンクスから発生し、人種を超えてアメリカを象徴する文化と言えるまでになったヒップホップ・カルチャー。その全盛期の始まりとも言える80年代前半には『ワイルド・スタイル』(1982)、『ビート・ストリート』(1984)、『ブレイクダンス』(1984)等、ヒップホップを題材にした映画がたくさん作られました。『クラッシュ・グルーヴ』もそんな流れの中で作られた作品です(日本では未公開)。

実在する大御所ラップ・グループ/ラン・DMCのメンバーが本人役で出演していますが、それもそのはず、この作品は彼らと彼らのメンバーの一人”ラン”の兄であるラッセル・シモンズの自伝的作品になっています。ラッセル・シモンズは80年代初頭からラン・DMCを初めとする様々なヒップホップ・グループのマネージメント等を行っていた人物で、伝説的レーベル「DEF JAM RECORDING」の創設者でもあります。
彼らの姿勢や内幕(どこまでが事実に即しているかわかりませんが)が描かれ、さらに当時人気のあったラッパーを大勢フィーチャーしているため、ヒップホップ好きにはかなり楽しめる1本となっています。
大御所カーティス・ブロウのメロウ・ラップやプリンス直系のミネアポリス・サウンドを披露するシーラ・E、オーディションのちょい役ながら強烈なパフォーマンスのL.L.クール.J。若かりし頃のニュー・エディション(ボビー・ブラウンの影が薄い!)、まだまだ”悪ガキ”という感じのビースティ・ボーイズの面々(この頃はまだ「白人ラッパーって気持ち悪い」と思ってました(^^;)、そして、個人的に血が逆流したのがラン・DMCのライブ・パフォーマンス。これシンプルだけどホントカッコいい。この場面だけで30分ぐらいあってもいいけどなーとか思っちゃいます。スパイク・リー監督の作品でも知られるアーネスト・ディッカーソンのカメラワークも切れ味抜群です。ランDMCは今でも現役で、彼らの最新アルバム『CROWN ROYAL』(2000.12)を聞いた時は、ずいぶんロック寄りの音になった気がして、これはこれでカッコいいなーと思ったのですが、この頃もやっぱり間違いなくロックですね。まさに『King Of Rock』(彼らのセカンド・アルバムのタイトル名)。最高です。

とは言え、ストーリー自体はレコード会社を営む主人公に三角関係と兄弟愛を絡ませた単純なもの。演出もそれなりでリアリティや緊張感は物足りないところも多いです。全体的な感想としては、さすがにバイブルと言われるドキュメンタリー『ワイルド・スタイル』に比べると歴史的価値、臨場感ともに及びませんし、サントラの格好よさも同じく日本未公開の『ビートストリート』に一歩譲ります。しかし、今となっては貴重な映像も多く、80年代の気分に浸りながら見るには楽しい作品です。

ちなみにスターになることを夢見るデブ3人組が食べ放題の店で食べまくるシーンのバックに『All You Can Eat』という曲が流れるのですが、この曲は1986年のゴールデン・ラズベリー賞のワースト主題歌曲賞にノミネートされてしまいました。理由は定かではありませんが、まあ確かにわざわざ大声でシャウトする内容ではないですね(笑)。

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