No.331
タイトル
キング・イズ・アライヴ
(原題)
THE KING IS ALIVE
監督
クリスチャン・レヴリング
脚本
クリスチャン・レヴリング他
キャスト
ジェニファー・ジェイソン・リー、ロマーヌ・ボーランジェ他
制作
2000年/デンマーク、スウェーデン、アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
108分
評価
★★★
<ストーリー>
故障したコンパスのせいで11人の男女を乗せたバスがゴーストタウンにたどり着く。そこは見渡す限り何もない灼熱の砂漠のど真ん中。荒れ果てた街には人の影は無く燃料もない。残り少ない食料も徐々に底をついていく。助けを求めて一人の男が脱出を図るが戻ってこない。極限状況の中で誰もが追い詰められていく.....。

<コメント>
1995年に『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)のラース・フォン・トリアー監督らによって始まった、デンマークにおける映画運動『ドグマ95』。簡単に言うと「商業主義映画」へのアンチな姿勢といったところでしょうか。ドグマ映画には「純潔の誓い」と呼ばれる、映画を製作する上で守るべき10個の重要なルールがあり、本作もこれらのルールに基づいて制作されています。ルールは「撮影はすべてロケーションによること」「カメラは必ず手持ちによること」「監督の名前はスタッフロールなどにクレジットしてはいけない」などなど。ドグマ映画は2007年現在で80作を超える作品が製作されています。

本作は、コンパスの故障から砂漠の真ん中に留まることになったバスの乗客と運転手の物語。ドグマ映画らしく、”いかにもサスペンス的な展開”はほとんどなく、登場人物の人間性とそれぞれの関係性で物語が進行していきます。人間が人間を演じ、しかし、それを見る人間は存在しないというねじれた空間。”キング”の前で苦悩し疲弊し、やがて消え行く人間たちの哀れさを描いているのでしょうか。ただ”キング”の持つ神の視点で語られているのだとすると、設定が本作のように閉鎖的になればなるほどリアリティが奪いさられているように思います。いくらドグマとはいえ、映像的に美しい場面や、特にラストシーンに関してはやっぱり音楽が欲しいなあという気も。そのストイックさが醸し出す雰囲気というのもあるのですが。
内容的にはシェイクスピアの「リア王」に対する知識があるかないかで、見え方はかなり違ってくると思います。個人的には「リア王」をほとんど覚えていないので、そういう意味での楽しみ方はできなかった気がしますが、登場人物のそれぞれのキャラクターと関係性はそれなりに緊張感がありました。ジェニファー・ジェイソン・リーがよいです。
ビデオやDVDには「砂漠版”CUBE”」との説明がありますが、単純にサスペンスとしての面白さを追求する作品ではありませんのでご注意。

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