No.292
タイトル
ジャンクフード
(原題)
ジャンクフード
監督
山本政志
脚本
山本政志
キャスト
飯島みゆき、古田新太、義幸、鬼丸他
制作
1998年/日本
ジャンル ドラマ
上映時間
84分
評価
★★★★
<ストーリー>
盲目の老女が目覚め、街にまた朝がやってくる。ドラッグ中毒のOLのミユキ(飯島みゆき)は、一夜を共にした行きずりの男を絞殺。そのまま彼女は何喰わぬ顔で会社に出勤するが、やがてドラッグがきれて、売人を探しにホテルへ。そこで二重人格の売人に身体も顔も傷つけられるが、そのまま夫の待つ家に帰宅する.....。

<コメント>
『ロビンソンの庭』(1987)、『てなもんやコネクション』(1990)等で日本のインディーズ映画に新しい血を注ぎ込んだ山本政志監督作品。一人暮らしの盲目の老女の朝を皮切りに、ジャンキーOLの二重生活、強盗殺人にチーマー同士の抗争等、街で繰り広げられるさまざまな出来事をドキュメンタリー的に切り取った作品です。

世代的に”ストリート”というと、80年代にリリースされたリック・ジェイムスの『スーパーフリーク』やアース、ウィンド&ファイアー『天空の女神』等のアルバムに象徴されるコンテンポラリーな黒人音楽を思い浮かべてしまいます。そもそも日本には”路上”はあっても”ストリート”という感覚は存在するのかどうか疑問に思うのですが、それでも、時に”ああこれは日本のストリート感覚だな”と思うものがあります。例えば映画で言うと本作。”路上”と”ストリート”の違いは微妙ですが、路上とは留まる場所であり、ストリートとは交錯する場所であると言えるかもしれません。
前半のエピソードは、ドラッグをやりながら会社勤めを行うOLの物語。表と裏の顔を持つ女性の行動が描かれていますが、そもそもサラリーマンが一番狂気をはらんでいると思っている私にとっては、衝撃的な内容にも関わらず、少し物足りない感じがしました。しかしながら、バスタブに溜められた水の浮遊感、太陽に透けて見える木の葉の透明感は素晴らしいです。生きるということのはかなさがすべてここに集約されている気がします。後半はさまざまな国籍の人間も登場して、一気に温度が上がります。人目を避けるかのように夜に行動する、組織や社会、モラルや常識から外れてしまった人々。彼らの重要なコミュニケーション手段であるセックスと暴力。しかし、世界は間違いなくそういう人たちも含んだ上で形成されています。盲目の老人もジャンキーOLもチーマーも、当たり前ですが、まったくの等価。それがストリートのリアルなのでしょう。全編を貫くソリッドなDJ KRUSHのビートが、作品の質感をさらに混沌としたものにしています。

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