No.220
タイトル
心のままに
(原題)
MR. JONES
監督
マイク・フィッギス
キャスト
リチャード・ギア、レナ・オリン、アン・バンクロフト他
制作
1993年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
114分
評価
★★
<ストーリー>
子供のように純真な男ジョーンズ(リチャード・ギア)は、衝動的な行動でしばしばトラブルを起こしていた。ある日、建築中の家の屋根から大空めがけて飛ぼうとしたジョーンズは、寸前に救われたものの興奮状態で病院に運ばれた。彼の診察に当たった女性医師リビー(レナ・オリン)は、壊れそうなほどピュアなハートを持つジョーンズに心動かされる.....。

<コメント>
『リービング・ラスベガス』(1995)でアカデミー賞にノミネートされた実績を持つマイク・フィッギス監督作品。躁鬱病に悩む男性患者と彼に心惹かれる女医との交流を描いた物語。
リチャード・ギア演じるジョーンズは工事現場で働く謎の男。並外れた陽気さで周囲を翻弄しながらもさまざまな人の心をつかんでいきます。リチャード・ギアの伊達男ぶりもあって、最初は明るくて陽気なお兄さんという感じなのですが、そのテンションはやがて常軌を逸したレベルになっていきます。躁の状態として極端な気がしないでもないですが、投薬の影響も考慮すればリアリティはあるのかもしれません。それにしてもちょっとかっこよすぎるのはご愛嬌。少なくとも視点としてポジティブなものを感じさせるところは悪くないと思います。
主人公の担当医を演じるレナ・オリンもいいですね。『蜘蛛女』(1993)ではタフな悪女役でしたが、ここでは心に正義感と不安を内包し、女性としての、そして人間としての強さと弱さを併せ持った医者を好演しています。ジョーンズの行動を見守り、そして気遣う友人を演じるデルロイ・リンドーもいい味出してます。この人はスパイク・リー監督の『マルコムX』(1992)を見て以降ファンなんですよ。独特の存在感があるんですよね。顔は怖いけれど優しい役が多いです。

キャスティングの成功もあって、前半は結構期待感を持って見られるのですが、患者と医者の恋愛関係、レナ・オリンの患者の中国人女性、ジョーンズの過去、さまざまなエピソードがそれぞれ空中分解してしまった感じで結果的にまとまりに欠ける作品になってしまったようです。リチャード・ギアの久々に自意識をあまり感じさせない演技のおかげで、心の病に苦しむ人間の苦悩はそれなりに伝わってきますが、いかんせん深みが今ひとつ。現代人の不安を一身に引き受ける病める女医を中心に、彼女の精神の解放とジョーンズとのラブ・ストーリーとして見ればこのくらいの軽さ、リアリティがちょうど良いのかもしれませんが、やはり扱うテーマがテーマだけにもっと人間の深層心理に迫ったドラマを期待してしまうのはしょうがないところかも。女医のカウンセリングを受ける患者たちや、主人公が入院する病院にいる他の患者たちの描写もちょっとステレオタイプな気がしました。
自分の気持ちのままに行動し生きることが難しい世の中だからこそ、主人公の躁の状態がまぶしく見える時があるのかもしれませんが、その裏にある苦悩を浮き彫りにすることなく、他者との心の交流を描くことは難しいのではないかと思いました。でも後味はそんなに悪くないです。

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