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タイトル
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列車に乗った男 |
(原題)
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L' HOMME DU TRAIN |
監督
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パトリス・ルコント |
脚本
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クロード・クロッツ |
キャスト
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ジャン・ロシュフォール、ジョニー・アリディ他 |
制作
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2002年/フランス、ドイツ、イギリス、スイス |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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90分 |
評価
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★★★ |
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【 ストーリー 】
生まれてこのかた街から出たことのないマネスキエ(ジョン・ロシュフォール)は大きな邸宅を守りつつ孤独な日々を送っていた。そんなある日、ふとしたことから、列車に乗ってやってきたミラン(ジョニー・アリディ)という謎の男と知り合う。しばらく泊めて欲しいと申し出るミランを快く受け入れたマネスキエ。男二人の奇妙な共同生活が始まる...。
【 コメント 】
一人暮らしの初老の男と流れ者の中年男、絶対に交わらない人生を歩んできた男の出会いと交流を描いた物語。監督は『髪結いの亭主』(1990)、『橋の上の娘』(1999)のパトリス・ルコント。初老の男マネスキエを演じるのはルコント作品の常連ジャン・ロシュフォール。渋みのある中年男ミランを演じるのは『ゴダールの探偵』(1985)のジョニー・アリディ。対照的な男二人のキャスティングですね。
ルコントは個人的に大好きな監督で、やはり男性の視点からの理想の女性を撮らせたら、現存の監督ではこの人が最高じゃないかと思うのですが、それと同時に、『タンデム』(1987)のように、男性の枯れた孤独を描かせてもやはりこの人は独特の間を持っている人だと思います。で、今回は人生の終盤に差し掛かった、どこか陰のある男二人の物語。ハードボイルドの合間にかすかに香るユーモア。大人の作品です。青みの強い映像も印象的。癖のあるフィルムカメラで撮ったような空気感がクールです。
二人の男が徐々に相手の人間性を理解しつつも、もともと交わることのない人生を歩んでいたこと、決して相容れない価値観の上に生きていることはお互い承知の上。その上で、あえてそれぞれの人生を重ね合わせてみる、その微妙な緊張感が描かれているところがさすがルコント。
難を言えば、マネスキエ役のジャン・ロシュフォールが(そういう役どころとは言え)少ししゃべりすぎで、台詞にセンスがあまり感じられないところ。下ネタが多いのも相手に媚を売っている感じでいただけません。また、ラストシーンはまさにこの映画の評価の分かれ目。個人的には...残念でした。自分の歩んできた人生に若干の後悔を抱えた男たちが垣間見たファンタジー。でもそんな演出なしでも十分成り立つ作品だと思いました。ミランの方はいいとして、マネスキエの最期はもう少し別のアプローチがあったのではないかと思います。それでも見終わった後に残る切なさはやはりルコント作品のそれです。
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