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タイトル
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ヒーロー/靴をなくした天使 |
(原題)
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HERO |
監督
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スティーヴン・フリアーズ |
脚本
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デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ |
キャスト
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ダスティン・ホフマン、ジーナ・デイヴィス他 |
制作
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1992年/アメリカ |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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118分 |
評価
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★★★★ |
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【 ストーリー 】
執行猶予で保護観察処分中のこそ泥のバーニー(ダスティン・ホフマン)は、目立たぬように生きるのがモットー。そんなバーニーの楽しみは、離婚して母親に引き取られた息子に会うこと。ある日、息子に会うために車を走らせるバーニーは川の中に落ちた旅客機の墜落現場に遭遇する。恐る恐る近づいてみると、逃げ出した乗客の男の子から、父親がまだ中にいると助けを求められる ...。
【 コメント 】
ダスティン・ホフマン演じるホームレス寸前のコソ泥が巻き起こした人命救助騒動を通して、登場人物の欲望や愛情が浮き彫りにされる人間ドラマ。監督は『ハイ・フィデリティ』(2000)のスティーヴン・フリアーズ。事件の渦中の人物でありながら、それを取材する立場でもあるTVレポーター役にジーナ・デイヴィス、どさくさに紛れて主役に躍り出るホームレスをアンディ・ガルシアが演じています。
アメリカの新しいリーダーとなったオバマ大統領ではありませんが、いつの世にも世間とはヒーローを求めるものなのでしょうか。本作も然り。悲劇の飛行機事故に命がけで人命救助を行った男、マスコミの報道もあり、瞬く間にヒーローとして祭り上げられるのですが、その実態は...と言う物語。
現実世界のこととして考えれば、例えどんなヒーローであっても、私たちと同じ人間であることに変わりはありません。私たちと比べて、多少は勇気があるかもしれませんし、知識や教養もあるかもしれません。また、困難に自ら立ち向かっていく根性や、何度失敗してもあきらめない心を持っているのかもしれません。それでも、基本的な能力と言う意味ではさほど違いはないでしょう。ヒーローになるかどうか、それはほんのちょっとしたきっかけやタイミングによって決まるものかもしれません。
本作では、まさにひょんなことからヒーローになってしまった男の人生を通して、人間の強さではなく、ある意味”人間の弱さ”の”素晴らしさ”を描いているような気がします。
脚本はちゃんと筋が通ってはいますが、この清濁併せ持つ主人公は、最後までいい人一辺倒ではありません。このキャラクターを破綻なく見せたのは、監督の演出はもちろん、やはりダスティン・ホフマンの演技力のすごさだと思います。ラストシーンはいかにもな感じでちょっと残念ですが、それでも、イギリス人の監督らしい、絶妙のバランスでほろ苦さを残した温かみのある作品に仕上がっています。
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