No.77
タイトル
天と地
(原題)
HEAVEN & EARTH
監督
オリバー・ストーン
キャスト
ヘップ・ティ・リー、トミー・リー・ジョーンズ、ジョアン・チェン他
制作
1993年/アメリカ
ジャンル 戦争ドラマ
上映時間
141分
評価
★★
<ストーリー>
舞台はフランス領インドシナ。ベトナム中部の小さな村キーラに農民の娘として生まれたレ・リー(ヘップ・ティ・リー)。兄達はベトコンに加わるため北に旅立ち、残った彼女もベトコンに加担することになる。しかしある誤解からスパイ容疑をかけられた彼女は拷問にかけられ、あげくの果てに村を離れざるを得ない状態になってしまう。しかしそれは彼女の波乱の人生のほんの始まりでしかなかった......。

<コメント>
社会派としてさまざまな問題作を世に送り出してきたオリバー・ストーン監督の作品。『プラトーン』(1986)、『7月4日に生まれて』(1989)に続くベトナム3部作の最後を締める作品です。実在の人物レ・リー・ヘイスリップの自伝がベースになっています。レ・リーという人はまさに波乱万丈の人生を生きた人で、逆境にも屈しないその芯の強さには恐れ入るばかりですが、残念ながら作品自体は彼女の人生の表面をなぞるような展開で、テレビドラマの拡大版という感じです。

ベトナムの風景を非常に美しく描いている点は好感が持てますが(撮影は同監督の『JFK』(1991)でアカデミー賞撮影賞に輝いたロバート・リチャードソン)、そもそも主人公やその家族を含め、ほとんどが英語を話しているのが少し納得いきませんし(それでいてアメリカ人と話すときは突然カタコトっぽくなっている気がします)、原作が大作なのでしょうがないのかもしれませんが、ストーリーの進行も少し急な部分が見られました。
レ・リーは敵であるアメリカ人と結婚するわけですが、その場合、「自分はアメリカという国は嫌いでもアメリカ人であるこの人は好きだ」、と考えるのはなかなか難しいのではないかと思います(まあ、単純に強く裕福な国ということで憧れの感情もあるかもしれませんが)。だから必ず敵国であるアメリカのやったことを理解しようと努力せざるを得ないし、場合によっては許さざるを得ない。でもそうすると必ず自国民からは「敵になびいた」とか「裏切り者」とか思われるわけで、この辺りが戦争を行った相手とどう和解するかということを考えるときに、大きな障害になるのではないかと思います。
要するに彼女が伝えたかったことは、宗教のように目に見えない思想のようなものから食べ物や設備等のように現実に存在するものまで、対立するさまざまな価値観の狭間で生きることは多くの驚きと苦悩に満ちている、それでもその状態でそれぞれを見つめ、そしてまず相手を許すこと、それが最終的に自分も相手も救うことになる、ということではないかと解釈するのですが、そのあたりがもっとドラマティックに伝わって来て欲しかったです。もちろん、アメリカから故郷に帰ってきたときに身内から辛くあたられる場面なんかは胸が熱くなりましたが。
また主演の女優は決して演技が拙劣なわけではないですが、思ったより存在感が薄い気がしました。まあこれは相手役トミー・リー・ジョーンズの存在感があまりにも突出していただけかもしれません。相変わらずの迫力です。

しかし、『プラトーン』でアメリカ人の自尊心に挑戦したオリバー・ストーン監督が、平和に向けての次のステップとして、戦争を敵国の視点で捉え、敵国の立場で理解しようと努力した結果がこの作品であるならば、その姿勢は非常に評価に値すると思います。公開当時は「アメリカ人がアジア人を描くのは無理がある」、等の批判もあったような気がしますが、個人的には、もしそうであったとしても相手を理解しようとする気持ち、そしてそれを行動に起こすことはとても大事なものだと思っています。

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