No.367
タイトル
ヘヴン
(原題)
HEAVEN
監督
トム・ティクヴァ
脚本
クシシュトフ・キエシロフスキー他
キャスト
ケイト・ブランシェット、ジョヴァンニ・リビージ他
制作
2002年/ドイツ、イギリス、アメリカ、フランス
ジャンル 恋愛ドラマ
上映時間
96分
評価
★★★

【 ストーリー 】
美人教師フィリッパ(ケイト・ブランシェット)は、夫や生徒を殺した麻薬売人に復讐を決行するが失敗し、罪なき人々を死なせてしまう。誰もが彼女を残酷な犯罪者とみなす中、刑務官フィリッポ(ジョヴァンニ・リビージ)は彼女に運命の出会いを感じ、恋に落ちる。彼女もまた、彼の一途さにひかれていく.....。

【 コメント 】
『トリコロール』三部作、『ふたりのベロニカ』(1991)などを生み出したポーランドの巨匠クシシュトフ・キエシロフスキー監督の遺稿となった脚本を『ラン・ローラ・ラン』(1998)のトム・ティクヴァ監督が映像化した作品。製作総指揮には、アンソニー・ミンゲラやシドニー・ポラックなどが名を連ねています。主演は『エリザベス』(1998)、『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)などのケイト・ブランシェット。
イタリア・トリノを舞台に、亡き夫のために行った復讐の失敗から数奇な愛の運命を辿ることになった英国人女性の物語が描かれています。

主演のケイト・ブランシェットって、内容を選ばずに出演作を決めているかのような(もちろん、選んでいるんでしょうけれど)奔放さを感じさせますが、本作はかなり脚本を気に入っての出演だったようで、演技もいつにも増して凄みがあります。何でもこなせますねえ。『ラン・ローラ・ラン』の監督、と言われると、スピード感のある演出を想像してしまいますが、お互いの意思疎通に必要最小限の言葉しか使わず、無言の間を生かした落ち着いた演出です。相手役が若い男でも、恋愛の描写に子供っぽさが無いのも素晴らしい。肉体関係を結ぶまでの時間、その描写についても監督の美意識が感じられます。トスカーナの素朴で透明感のある映像も見所。”偶然”ということが美の重要な要素であると言わんばかりの純粋さに圧倒されます。

この作品のストーリーや主人公の女性の贖罪についてリアリティを求めるのであれば、いろいろと納得のいかない部分はあると思います(私も若干それは感じます)。しかしながら、ラストの昇天シーンを突発的な行動と捉えず、そもそも踏み出してはいけない恋愛に確信犯的に身をゆだねた男、そしてそのあまりの純粋さに打たれた女、この二人の、最初から成就することの無かった愛の結びつきゆえの結末と考えると、その無常さが際立ってくると思います。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送