No.145
タイトル
ハーツ・アンド・マインズ/真実のプラトーン
(原題)
HEARTS AND MINDS
監督
ピーター・デイヴィス
キャスト
制作
1974年/アメリカ
ジャンル ドキュメンタリー
上映時間
110分
評価
★★★★
<ストーリー>
1974年度アカデミー・ドキュメンタリー長編賞受賞作品。ベトナム戦争に関するニュース映像やインタビュー、その他関係者の証言や現地の映像を交え、戦争の真実を浮き彫りにしたドキュメンタリー作品。

<コメント>
「ソ連も強大だったが我々とは差がありすぎた。我々は責任感に加えて使命感を持ち始めていた。世界一の強国として人類の未来を左右する自信のようなものもあったのだ」(クラーク元大統領補佐官)
「なぜ私はベトナムに行ったか。8年前、当時共産主義は再び自由な国を脅かしていました。必要ならまた行きます。義務ですから。」(ベトナムで捕虜になっていたG・コーカー大尉)
「そもそもの発端から説明して欲しいのかね。問題の発端はスプートニクの打ち上げだ。1957年にソ連が初の人工衛星打ち上げに成功して以降、勢いづいた共産側が世界各地で赤化への策動を始めたのだ。」(ロストウ大統領補佐官)
「油断してるとアメリカもベトコンだらけになるぜ。反戦デモしたりヤクに溺れたりしてるとな」(サイゴンの米兵たち)
「東洋では西洋ほど命の価値が高くない。人口が多いからだろう。」(ウェストモーランド大将)
「革命当時ロシアの共産党員は国民2,277人につき一人の割合であった。現在アメリカには国民1,814人につき一人の共産党員がいる。」(フーバーCIA長官)

ベトナム戦争の現地映像や関係者の証言等によって構成されたドキュメンタリー。監督のピーター・デイヴィスは、1974年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に輝きました。とにかく、今ご紹介したように、軍の関係者から現地で戦った兵士まで、さまざま人々から生々しい証言が語られます。ナパーム弾で焼き尽くされる村や森。サイゴンで行商の子供達から物を買い、娼婦と思われる女と手をつなぐ米兵たち。おそらく戦争によって足を失ったと思われる子供。もちろん、これら現地で撮影した戦慄の映像も圧倒的な説得力を持って襲い掛かってきます。
こういう作品を見ると物事の裏表の落差の激しさに呆然とさせられるのですが、結局、国家の上層部の一部の人間の思惑によって国の行く末が決定され、そのために国民が欺かれていた、という事実を見せられると、このドキュメンタリー・フィルムもまた”作られた”可能性をはらんでいるのではないかという疑念が消えません。私たちは国にそしてメディアによって操作される危険を消し去ることはできないからです。

しかし、地面に転がされ、米兵に銃で突かれる少年のシーン、後ろ手に縛られた少年のこめかみに銃をあて、何のてらいもなく引き金を引くシーン等は、そういった疑念を越えて私たちの胸に突き刺さってきます。
争いの発端や思惑を学ぶことはもちろん、人間がここに映し出されているような狂気を持ちうるのだと認識することはこれからの未来のために必要なこと。そして、さらに考えなければならないのは、その狂気がアメリカだけに起こりうるものではないこと、そして何度も繰り返される可能性があるものだということです。

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