No.257
タイトル
逆噴射家族
(原題)
監督
石井聰亙
脚本
小林よしのり、神波史男、石井聰亙
キャスト
小林克也、倍賞美津子、植木等、工藤夕貴他
制作
1984年/日本
ジャンル ドラマ
上映時間
106分
評価
★★★
<ストーリー>
小心でまじめな小林勝国(小林克也)は長期ローンでようやく一戸建てを手に入れた。妻も息子も娘も勝手気ままではあったが、勝国はこよなく家族を愛していた。そんなある日、勝国の父・寿国(植木等)が舞い込むに至って、3LDKの生活は一変。勝国は父のために仕方なく地下室を作るはめになるが.....。

<コメント>
『狂い咲きサンダーロード』(1980)、『五条霊戦記』(2000)の石井聰亙監督作品。原案と脚本は『ゴーマニズム宣言』で有名な漫画家の小林よしのり。
一見平和そうに見えた家族の歯車が狂っていく様をブラックユーモアたっぷりに描いたドラマ。人気テレビ番組『ベストヒットUSA』のキャスターとしてお馴染みの小林克也氏が主演ということもあってか、80年代テイストの作品となっています。ちなみに本作公開の2年前に、精神の異常をきたしていた機長が着陸寸前に逆噴射してしまうという、日本航空羽田沖墜落事故があり、当時この”逆噴射”という言葉がよくメディアに登場していました。
低予算映画っぽい映像ではありますが、石井監督のパワフルな演出は健在で、人も家も轟音をたてて崩れていきます。小林克也氏だけでなく、お母さん役に賠償美津子、娘役に工藤夕貴、さらにおじいちゃんが植木等と、個性派俳優をそろえていますが、一番のハマり役は息子役の有薗芳記でしょう。受験ノイローゼから新興宗教(?)にハマっていく過程、突然イッてしまう演技、リアルです。前半のハチャメチャぶりに多少無理がある感じで、父親のキレるきっかけやプロセスが説得力に欠けるきらいも。父親の家への執着と解脱がもっと前面に出ていればよかったと思います。
まあしかし、そういう細かい(?)ことはあまり問題ではなく、とにかく家族で殺しあう場面を撮りたかったんだろうなという気がしますが、そこがちょっと冗長なのが残念。
公開当時は”逆噴射”というキーワードを使ったタイトルと小林克也主演というキャスティングでかなり話題になった気がしますが、改めて見ると思ったよりマイルドな印象です。家族の殺し合いの場面も、今だったらもっと恐ろしいことになったのでは。地下室を作るという発想とそのために穴を掘るという行為だけで十分アナーキーなはずなんですが、まあそれだけ時代の歯車がさらに狂ってしまったということでしょうか。シリアスドラマではなくブラックユーモアをベースにしたところが救いで、ラストシーンは結構好きでした。

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