No.406
タイトル
ゲット・オン・ザ・バス
(原題)
GET ON THE BUS
監督
スパイク・リー
脚本
レジー・ロック・バイスウッド
キャスト
チャールズ・S・ダットン、オシー・デイヴィス他
制作
1996年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
121分
評価
★★★

【 ストーリー 】
ワシントンで開かれる歴史的イベント”百万人の大行進”に参加するため、ロサンゼルス発の長距離バスにブラザーたちが乗り合わせた。映画学校の学生や俳優を目指す若者、わけありの父子や、かつてギャングだった男など。同じ目的で集ったはずの彼らだが、宗教観や人種問題、家族のあり方など、いい争いが絶えない。さまざまなトラブルを起こしながら、彼らを乗せたバスはワシントンへとひた走る.....。

【 コメント 】
ハリウッドの偉大なるトラブルメーカー、スパイク・リー監督作品。1995年にワシントンで行われた黒人の「百万人の大行進」に参加するため、ロサンゼルスからワシントンまで向かうバスに乗り込んだ黒人男性たちが繰り広げる群像劇。デモへの参加という共通の目的を持ち、運転手も乗客も一丸となった旅になるかと思いきや、バスの中では人種問題を超えたさまざまなトラブルが発生。そんな珍道中をスパイク・リー監督がシリアスかつコミカルに描き出しています。

冒頭からいきなり鎖につながれた黒人男性の映像が登場。このあたりがスパイク・リー。また、登場人物は意図的に、保守思想、フリー思想、ゲイ、犯罪者、ハーフなどなど、あらゆる多様性を内包するように設定されています。

やたらと性がテーマになったり、音楽を奏でたり、黒人の有名人の名前が飛び交ったりする確信犯的アプローチは、スパイク・リー監督の作品では珍しいことではありませんが、それが”バス”という空間の中に押し込められているのが興味深い。黒人の尊厳と権利を取り戻そうというデモに参加する以前に、黒人を取り巻くさまざまな問題の中で翻弄される人々。それぞれのテーマに結論は用意されず、問題提起に終始しているところが物足りない気もしますが、答えはそれぞれが考えるべし、ということなのでしょう。ほとんどがバスの中のシーンという地味さをコントラストの強い映像とキレのある演出でカバーし、人間同士の軋轢をより浮かび上がらせているあたりはさすが。作中、ビデオカメラを回し続ける学生はスパイク・リー自身の立場を表したものなのでしょうか?

とある事件の発生により、登場人物たちの喧騒はひとまず収束しますが、気になるのは帰り道。やはり人間は歴史から学ぶことは出来ず同じことを繰り返すのか、それとも犠牲を払えば少しは進歩することが出来るのか。いずれにしても、みんな地球という同じバスに乗っているわけですから。

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