No.117
タイトル
さまよう魂たち
(原題)
THE FRIGHTENERS
監督
ピーター・ジャクソン
キャスト
マイケル・J・フォックス、トリニ・アルヴァラード、ピーター・ドブソン他
制作
1996年/アメリカ
ジャンル ホラー
上映時間
110分
評価
★★★
<ストーリー>
妻を交通事故で失ったフランク(マイケル・J・フォックス)は、事故で受けた衝撃から幽霊と話せるようになっていた。彼はその能力を使い、知り合いになった三人の幽霊たちと組んで”ゴーストバスター”の商売で荒稼ぎ。そんな折、町では原因不明の死亡事故が連続する。真相の究明に必死の警察は、挙動が怪しいフランクに疑いの目を向ける.....。

<コメント>
今や『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)の成功ですっかりメジャーになってしまったニュージーランド出身の鬼才・ピーター・ジャクソン監督のハリウッド・デビュー作。製作総指揮は『永遠に美しく…』(1992)、『フォレスト・ガンプ』(1994)等の作品で知られるロバート・ゼメキス。音楽は『メン・イン・ブラック』(1997)、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 』(1997)等でアカデミー賞にノミネートされたダニー・エルフマン。
マイケル・J・フォックスを主演に迎え、コメディとしてもホラーとしても楽しめる作品に仕上がっています。

前半はマイケルと幽霊たちの絡みを中心に、とぼけた味わいのコメディ・テイストで進んでいきます。マイケルの空回り&確信犯的ボケ具合にはやっぱり笑いがこぼれます。ポルターガイストを起こす幽霊役の2人もコンビっぽくて面白い。演出にはスピード感があり、登場人物の会話のテンポも良くて飽きません。ピーター・ジャクソン監督ファンには少し物足りないかもしれませんが、軽さの中にも何か起こりそうな緊張感が漂っており悪くないです。
と、前半は楽しいながらもおとなしい展開ですが、後半はいよいよ監督のパワー全開。多少B級なノリも混ぜながら一気にホラー映画に。個人的にはピーター・ジャクソン監督と言えば『乙女の祈り』(1994)なのですが、いろいろとごった煮にしてたたみかけてくるような監督の手腕はここでもしっかり発揮されています。
しかし、思ったほどの恐怖感は得られなかったり、皮膚感覚に訴えてくるものが少ないのは、やはりCGの使いすぎでしょうか。特撮好きのロバート・ゼメキスが、少しやりすぎた?CGなんてもっとチャチでいいから、思い切りおどろおどろしい感じに振れて欲しかった気がします。ハリウッドが、コメディ・ホラー・ロマンスの要素を混ぜ込もうと欲張ったのか、ピーター・ジャクソン監督に暴走されるのを怖がったのか、定かではありませんが...。監督自身が参加した脚本はなかなかよくできているだけに残念。
マイケルをはじめとするキャスティングは成功していて、FBIの捜査官を演じるジェフリー・コムスのエキセントリックな設定も好きな人には笑えるキャラクターでしょう。しかも最後までしつこく絡んでくるあたり、ちゃんと作っている感じが伝わってきます。しかしこの人、終盤なんてもうほとんどイッちゃってますね。
興行的には大失敗だったようですが、個人的には「意外と面白かったなー」と思いました。ただ、この監督の”スピード感はあるもののちょっとバタ臭い演出”は好き嫌いが分かれるところかもしれません。ストーリー的にも真面目に追っていくと破綻しているところもありますから。

ちなみに当時マイケルはすでにパーキンソン病(退行性の神経疾患)を発病した後で、病気と戦いながらの撮影だったと考えると少し痛々しい気もしますが、前半の演技なんかはやはりコメディのセンスを感じますね。まだまだがんばって欲しいです。

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