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No.209 |
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タイトル
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フレッシュ |
(原題)
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FRESH |
監督
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ボアズ・イェーキン |
キャスト
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ショーン・ネルソン、ジャンカルロ・エスポジート、サミュエル・L・ジャクソン他 |
制作
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1994年/アメリカ |
ジャンル |
ドラマ |
上映時間
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115分 |
評価
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★★★★ |
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<ストーリー>
”フレッシュ”と呼ばれるその少年(ショーン・ネルソン)は、バイトにヤクの運び屋をしながら学校に通っていた。ただ一人の姉のニコール(ブッシュ・ライト)はヘロインに溺れる生活を送っていた。そんなある日、友達が銃で撃たれるという事件が起こる。父親からの教えを受けたフレッシュはある決意をする.....。
<コメント>
クリント・イーストウッド主役、監督の刑事ものアクション『ルーキー』(1990)の脚本で注目を浴びたボアズ・イェーキン初監督作品。もちろん本作でも脚本を手がけています。しっかりした演技を見せる主人公役のショーン・ネルソンを始め、登場人物に ジャンカルロ・エスポジート、サミュエル・L・ジャクソン等の個性派・実力派を配し、手堅い演出でアメリカ社会の闇を描いた作品です。
主人公は12歳の少年。彼は学校に通いながら、ヤクをさばくドラッグ・ディーラーとしても暗躍。運び屋をやりながらも学校に遅刻することを嫌うあたり、いかにも幼い感じなのですが、それでもその眼光には裏社会に関わる一人の人間としての鋭さ、暗さがあります。この辺の演技うまいですねー。淀川長治さんのコラムを拝見すると、この少年は13歳の舞台俳優のようです。なるほど。
主人公がこの年齢で早々に運び屋になったのは、おそらくこのきつい街で生きていくための手段として選び取った結果なのではないかと思います。そして姉のことを誰よりも思い、父親にも愛情を抱いている。しかし、自分が選んだ道ゆえに家族から疎外され、社会から外れていかざるを得ない。なんとも哀しい循環です。チェスでいいところを見せても一切表情に出さないあたりは、裏社会で生きていくために身につけたクールさなのでしょうか。それでも後で「気持ちよかった」と言うあたりやっぱりかわいいんですけどね。力の強いものが上に立ち、弱いものが排除されていく社会、銃が人の命を左右する社会、自分の命は自分で守るしかない社会。一番問題なのは、他に逃げる場所が無くそこで生きていかなければならないということ。
前半の少年の日常生活の描写はドキュメンタリー・タッチで鋭いですね。ちょっとジョン・カサヴェテスの映画を思い出したりして。それに比べ、後半はストーリー的に多少映画っぽさが出てきます。少年とドラッグ・ディーラーたちの駆け引きが単純に進みすぎのような気もしますが、それでもラストシーンはさすがに唸ります。黒人社会を描いた映画ではギャングスターにあこがれる少年たちがたくさん出てきますが、もちろん、普通に学校に行って普通に社会に出て、普通に暮らしたいと願う少年も多いはず。しかし、それが思うようにならないのがアメリカ。人間が流す涙とは、かくも美しく哀しいものなのでしょうか。サミュエル・L・ジャクソンの演技も地味ながら渋い。
こういう種類の映画では間違いなくいヒップホップサウンドが全編を支配するのですが(もちろんそれはそれでかっこいいのですが)、元ポリスのドラマー、スチュワート・コープランドが音楽を手がけたところが新鮮でした。 |
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