No.114
タイトル
パリの天使たち
(原題)
UNE EPOQUE FORMIDABLE...
監督
ジェラール・ジュニョー
キャスト
ジェラール・ジュニョー、リシャール・ボーランジェ、ヴィクトリア・アブリル他
制作
1991年/フランス
ジャンル コメディ
上映時間
96分
評価
★★★
<ストーリー>
ベテラン・セールスマンとしてならしたベルティエ(ジェラール・ジュニョー)。しかし、突然会社をリストラされた彼は、妻や家族にその事を打ち明けられず、街をさ迷い歩き、気がつけばホームレスになっていた。そこで彼は今まで出会ったことの無い種類の男たちにめぐり合う.....。

<コメント>
最新作『バティニョールおじさん』も好調のジェラール・ジュニョーが監督・脚本・主演までこなした作品。突然ホームレスとなってしまった男と社会の裏で片寄せ合いながら生きる男たちとが繰り広げるコメディ・ドラマ。
社会的地位や家族等、すべてを失ってしまった男がどん底の生活を経験することにより、立ち直っていくというストーリー。リストラされたけれども妻に言えず、毎朝会社に行くふりをして家を出る、なんてのはどこかの国でも聞いたことのある話です。
こういう設定での主人公のキャラクターには2種類あると思います。ひとつは主人公が本当にお人よしとも言えるほど”いい人”の場合。で、人にだまされたり利用されたりしてどん底に落ちますが、途中からツキがまわってくる。もうひとつは主人公が”嫌なやつ”の場合。他人への思いやりに欠けていたり、性格的な問題があったり。この場合、その性格ゆえにどん底に突き落とされますが、周囲の人たちの思いやりや優しさによって、更正していきます。本作品は主役を演じるのがジェラール・ジュニョーですから、キャラクターはもちろん後者(笑)。しかし、ちょっとプライドが高すぎる気がしますね。「そこまでやらなくても」という感じ。特に女性の方からは「こんな素晴らしい奥さんがいるのに!」という声が聞こえてきそうです(女性でなくても私もそう思いますが)。これならば逆に、リストラに至るまでをちょっとひいき目に描いた部分がほしかったです。そうすれば”不器用で憎めない人”ということで感情移入できたかも。元のさやに収まる理由も結局は知り合ったベテラン・ホームレスたちに諭されてのこと。自らのやってきたことを振り返っての反省や悔恨もほとんど無いため”気付き”や”癒し”等、カタルシスを感じられる部分は薄いです。その分リアリティがあるかというと、途中いかにもコメディらしいドタバタっぽい展開もある。
ということでいろいろ書いてきましたが、この作品は主人公の飄々とした生き様を楽しみつつ、あまり深く考えずに見るのが正解。そう考えるとジェラール・ジュニョーの演技もあって、なかなか面白く見ることができますし、暗すぎない演出もバランスよく感じられます。またリシャール・ボーランジェがやっぱりカッコイイ。なんだかんだ言っても最後に哀愁を感じさせるあたりさすがポーランジェ。存在感あります。会社の同僚や社会の底辺に暮らす人たちの描写にもユーモアが感じられます。しかし、パリの地下鉄って本当にあんな状況になっちゃうんですかね。

ちなみに原題は”最悪転じて最高の時間””素晴らしき時代”という意味らしいです。邦題は『パリの天使たち』になっていますが、主人公が出会うホームレスが天使たちということでしょうか。だとしたらちょっと無理があるような気がしますが。

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