No.151
タイトル
ザ・フォッグ
(原題)
THE FOG
監督
ジョン・カーペンター
キャスト
エイドリアン・バーボー、ジェイミー・リー・カーティス他
制作
1979年/アメリカ
ジャンル ホラー
上映時間
90分
評価
★★★
<ストーリー>
小さな港町であるアントニオ・ベイには、街の生誕百年祭の夜に、百年前に難破して死んだ“エリザベス・デーン号”の乗組員が復讐のために戻ってくるという恐ろしい伝説があった。そして百年祭の前夜、時計が0:00を示した時、奇怪なポルターガイスト現象が街中を襲い始める.....。

<コメント>
アメリカが誇る鬼才、ジョン・カーペンターが監督・脚本・音楽まで手がけた作品。
出演者は監督の元妻でもあるエイドリアン・バーボー、当時同じくジョン・カーペンター監督の作品『ハロウィン』(1978)に出演し、”スクリーミング・クイーン”と呼ばれていたジェイミー・リー・カーティス(本作ではそれほどではありませんが)等々。ちなみに彼女の母はジャネット・リーで、ヒッチコック監督の『サイコ』(1960)でのシャワー・シーンで歴史的な名悲鳴(?)を上げた人物。本作でも競演しています。『ハロウィン』は、今なおスラッシャー・ホラーの金字塔と呼ばれる等、ジョン・カーペンター監督の代表作として有名ですが、本作は、インパクトの強いどぎつい殺人描写等は控えめで、雰囲気と演出効果を中心に恐怖を煽っています。

ストーリーは古典的で、100年前に難破した船の乗務員が幽霊となってよみがえり、街の人々を襲うというもの。とにかく犠牲者が続出するもの、一向に犯人像や殺人動機が見えてこない、ということはありません。そのあたりの進行もストレート。悪い言い方をするとひねりがないのですが、それが逆に中途半端な謎解きや犯人探しを排除した純粋なホラー作品としての雰囲気を作り出しているのかも。謎解きと言っても伏線の張り方を間違えるとあっけなくなりますからね。なので、襲ってくるやつらが、何者なのかはすぐにわかるのですが、どこからどのようにやってくるかはわからない、ただ不気味な霧が立ち込めてくる、というのがなかなか怖い。この霧もまるで生きているかのように描写されています。霧だけとか幽霊だけとかではなくて、まず霧がすうっと伸びてきて、それから幽霊が出てくるという設定がいいんでしょうね。まあ、相手が社会逸脱者のような”人間”ではなくて、難破船の乗員の”幽霊”、というだけですでに逃げるしかないんですが(笑)。
恐怖を煽る演出はさすがジョン・カーペンターですが、特に気に入ったのは冒頭の部分。監督の名前がスクリーンに出てくるまで、結構長い時間を要しますが、ここを霧も音楽もほとんど使わずに演出だけで乗り切るのはすごい。確かな仕事です。
また、監督自身が手がけたという音楽もいい味出してます。シンプルで繊細な音ほど恐怖の妄想が膨れ上がるというのは『エクソシスト』(1974)の『チューブラー・ベルズ』で嫌と言うほど体験させられましたが、ここで奏でられる音楽も同じような効果を生んでいると思います。
霧そして音楽が織り成す怖さに比べ、実際に幽霊に襲われる場面のテンポが今ひとつなので、どうしてもB級っぽさが抜けず、派手さはあまりありませんが、じわじわと追い詰められる恐怖をじっくり楽しめる秀作だと思います。
ちなみにこの作品は1980年のアボリアッツ・ファンタスティック映画祭で批評家賞を受賞しました。

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