No.179
タイトル
リタと大学教授
(原題)
EDUCATING RITA
監督
ルイス・ギルバート
キャスト
マイケル・ケイン、ジュリー・ウォルターズ、マイケル・ウィリアムズ他
制作
1983年/イギリス
ジャンル ドラマ
上映時間
112分
評価
★★★
<ストーリー>
フランク(マイケル・ケイン)は大学教授。が、世をすね、ウィスキーに頼る毎日。リタ(ジュリー・ウォルターズ)はヘア・ドレッサー。何も知らない女性。だが彼女は教育を受けることを熱望し、幸運にもフランク教授の文学の講義を受けることになった。フランクは彼女の天性の才能に戸惑いながらも、徐々に引かれていく.....。

<コメント>
イギリスを代表する二枚目スター、マイケル・ケイン主演のドラマ。監督は『アルフィー』(1966)、『007は二度死ぬ』(1967) 等のルイス・ギルバート。
美容師という、いわゆる”労働者階級”で教養がないと自覚している女性リタが、公開大学に入学。そこで出会った大学教授フランクとの心の交流を描いた物語。リタはとても好奇心が旺盛で自己探求芯の強い女性。過剰な向上心はともすれば同じクラス(=階級)の人々から煙たがられる結果になります。でもって中・上流階級からはそもそも疎んじられているわけだから、身の置き所がなくなってします。このあたりのジレンマに苦しむリタをジュリー・ウォルターズが好演。一方の大学教授のフランクはインテリ中産階級を軽蔑し自ら堕落しようとする人物。かといって、自宅での集まりにリタを招待する等、オープンとは言え少しずれているところもある。リタの繊細で独特な物の見方にはフランクも一目置くのですが、知識を身につけるにつれ、その視点は失われてきます。それでもスポンジのように知識を吸収し、人間としても成長していくリタに徐々に引かれていくフランク。リタのセンスやひらめきが天性のモノを感じさせるところがストーリーとして無理がなく、まわりの似非インテリをやっつけていく様は痛快なのですが、個人的にはそこが逆に興ざめの部分も。
ちなみにリタ役のジュリー・ウォルターズ及びフランク役のマイケル・ケインともに1983年ゴールデン・グローブ賞の女優賞と男優賞を受賞。同年のアカデミー賞では受賞には至りませんでしたが、それぞれ主演女優賞、主演男優賞にノミネートされました。
全篇アイルランドで撮影された映像も、どこか牧歌的で味わいがあって良いです。

<以下、ネタばれ注意!>
邦題『リタと大学教授』と聞いて「これってラブストーリー?」と思われた方も多いと思います。もちろんそういう側面もありますが、単純に二人が恋人同士として一緒になって終わらないところがハリウッド映画と違うところ。本作では、結局二人は最後にそれぞれの道を歩みます。フランクはリタへの愛情をあらわにするものの、ラストシーンでは意外とさばさばした表情を見せます。つまりフランクはリタという存在そのものを好きになったというよりも、どちらかというと文学や戯曲を心から愛し楽しむ術をあらためて彼女から得たということだったのではないでしょうか。一方、空港から去っていこうとする彼女の後姿は少し寂しげに見えます。彼女としては、教養を得て、フランクと同じ立場に立った自分を女性としても愛し抜いて欲しかったのかも。
切ないラストシーンですが、それでもさわやかな感情が残るところがこの作品の素晴らしいところだと思います。

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